歯科のホームページに載せるべきこと|子育て世代目線の掲載項目、医療広告ガイドラインの注意、制作会社に依頼する前の準備
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歯医者を探すとき、多くの方はまず歯科のホームページを開きます。とくに子育て世代の保護者は、「子どもを連れて行って大丈夫か」「待っている間どうしよう」「駐車場はあるか」といった、診療内容とは別の不安を抱えながらページを見ています。この記事では、歯科医院のホームページに載せるべきことを保護者の目線で整理したうえで、ホームページも対象になる医療広告のルールで気をつけたい点、制作会社に依頼する前に院内で決めておくこと、見積もりの見方までをまとめました。リニューアルを考えている院長・事務長の方に向けた内容です。
歯科のホームページは「来院前の不安」に答える場所
歯科のホームページというと、院長のあいさつ、診療科目、設備の紹介を並べたものを思い浮かべるかもしれません。もちろんそれらも大切ですが、初めて来院を考えている方が知りたいのは「この医院に行ったら、自分(や子ども)はどう過ごすことになるのか」です。ページを読み終えたときに、来院の場面を具体的に思い描けるかどうかが、予約の電話をかけるかどうかを分けます。
見る人は「比べながら」読んでいる
地図アプリや検索結果から来た方は、近くの複数の医院のページを行き来しながら比べています。トップページを開いて数秒のうちに「診療時間」「場所」「子どもも診てもらえるか」が分からないと、別の医院のページへ移ってしまいがちです。凝った演出よりも、知りたい情報にすぐたどり着けることを優先しましょう。
スマートフォンで見られる前提でつくる
子育て中の保護者は、子どもを寝かしつけた後や、ちょっとした待ち時間にスマートフォンで医院を探すことが多いものです。パソコンの画面で確認して満足するのではなく、制作中も公開後も、院長やスタッフ自身のスマートフォンで実際に開いて確かめる習慣をつけてください。電話番号をタップするとそのまま発信できるか、予約ボタンが指で押しやすい大きさか、といった点は、スマートフォンで触ってみないと気づけません。
ホームページの目的を「医院の紹介」ではなく「初めての方の不安を減らし、予約までの迷いをなくすこと」と置き直すと、載せるべき情報と、削ってよい情報が見えやすくなります。
子育て世代が歯医者のホームページで探している情報
保護者が歯医者のホームページで確かめたいことは、診療そのものよりも「連れて行けるかどうか」に関わることが少なくありません。下の表は、保護者が抱きやすい疑問と、ホームページで答えておきたい内容の例です。貴院のページで答えられているか、一つずつ照らし合わせてみてください。
| 保護者の疑問 | ホームページで答えておきたいこと | 載せ方の工夫 |
|---|---|---|
| 何歳から診てもらえる? | 子どもの受診の受け入れ、初めての受診で行うこと | 「初めてのお子さんの来院の流れ」として順番に書く |
| 子連れで行っても大丈夫? | ベビーカーのまま入れるか、おむつ替えの場所、授乳の相談ができるか | できること・できないことを正直に書く |
| 親が治療中、子どもはどうする? | 待合室での過ごし方、スタッフの見守りの有無、診療室に一緒に入れるか | 待合室の写真と、実際の過ごし方の説明を添える |
| 車で行ける? | 駐車場の台数・場所、近隣の目印 | 駐車場の入口の写真や、地図の上での位置を示す |
| 土日や夕方は空いている? | 診療時間、休診日、予約の取りやすい時間帯の目安 | 表で示し、臨時休診はトップのお知らせに出す |
| 予約はどうやって取る? | 電話・Web・LINEなど予約の手段と、変更の方法 | 各ページの下と、スマートフォン画面の固定ボタンに置く |
| 泣いたり嫌がったりしたら? | 無理に治療を進めない方針か、慣れるための来院があるか | 貴院の考え方を院長の言葉で書く |
「初めての来院の流れ」は一番読まれるページになりうる
予約から受付、問診票の記入、診察、会計、次回予約までを順番に書いた「初めての方へ」のページは、不安の大きい保護者ほど丁寧に読みます。問診票をWebで事前に記入できるなら、その案内もここに入れます。「持ち物:保険証(マイナ保険証)、子ども医療費の受給者証、お薬手帳」のように、持ち物を具体的に書いておくと、受付での確認の手間も減らせます。
待合室の写真は「雰囲気」より「様子が分かる」もの
待合室の写真は、広さや明るさを見せるだけでなく、子どもがそこで何をして過ごせるのかが分かる写真を選ぶと、保護者にとって役立つ情報になります。キッズスペースがあるならその様子を、置いていないならその理由(衛生面の配慮など)を一言添えます。患者さんが写り込む写真を使う場合は、本人の同意を必ず得てください。待合室の考え方については歯科・小児科のキッズスペースの記事もあわせてご覧ください。
院長・スタッフの「人となり」を伝える
保護者は、子どもに接するのがどんな人なのかを気にしています。院長の経歴だけでなく、子どもへの接し方で大切にしていることを、院長自身の言葉で書くのがおすすめです。スタッフ紹介も、顔写真の掲載はスタッフ本人の同意を得たうえで、無理のない範囲で行いましょう。
「子どもにやさしい」「アットホーム」といった言葉だけでは、どの医院のページにも書かれていて違いが伝わりません。「初めての日は椅子に座って器具を見るだけでも大丈夫です」のように、実際に行っている対応を具体的に書く方が、保護者の安心につながります。
歯科医院のホームページと医療広告ガイドライン
歯科医院のホームページをつくるうえで、必ず押さえておきたいのが医療広告のルールです。厚生労働省の「医療広告ガイドライン」では、医療機関のウェブサイトも広告規制の対象として扱われています(平成30年6月施行の改正医療法による見直し)。「ホームページは広告ではないから自由に書ける」と考えず、掲載する文章や写真がルールに沿っているかを確認する必要があります。
注意が必要とされる主な表現の例
ガイドラインでは、広告してはならない内容として、虚偽の広告、他院と比べて優れていると示す広告、誇大な広告、患者の主観に基づく治療内容や効果の体験談などが挙げられています。ホームページでつい書いてしまいがちな例を、確認の目安として整理しました。実際に掲載してよいかどうかは、必ずガイドラインと関連するQ&Aの原文で確認してください。
| ありがちな表現・掲載物 | 確認したい観点 |
|---|---|
| 「地域で一番」「最高の技術」 | 他院との比較や、根拠を示せない最上級の表現にあたらないか |
| 「痛くない治療」「必ず治る」 | 効果を保証する表現・誇大な表現にあたらないか |
| 治療を受けた患者さんの感想 | 治療内容や効果に関する体験談の掲載は制限されている点 |
| 治療前・治療後の写真 | 治療内容・費用・リスクなどの詳しい説明が添えられているか(限定解除の要件) |
| 自費診療の紹介 | 標準的な費用、治療期間・回数、主なリスクや副作用の説明があるか |
| 「○○学会認定」などの資格表示 | 広告が認められている資格・専門性の範囲かどうか |
「限定解除」と自費診療の書き方
ウェブサイトのように患者さんが自ら求めて見に来る媒体では、一定の要件を満たすことで、通常は広告できない事項を掲載できる「限定解除」という考え方があります。自費診療を紹介する場合は、通常必要とされる治療内容、費用、治療期間や回数、主なリスクや副作用などを分かりやすく示すことが求められます。どこまで書けば要件を満たすのかは判断が分かれやすいところなので、制作会社任せにせず、院長自身が原文に目を通しておくことをおすすめします。
クチコミやSNSの埋め込みにも注意する
Googleクチコミの評価や投稿をホームページに埋め込んだり、SNSの投稿を一覧表示したりする場合も、その内容が体験談や効果の表現にあたらないか確認が必要です。クチコミとの付き合い方についてはGoogleクチコミ対策の記事で、SNSでの表現の注意点についてはSNS運用の記事でも触れています。
- ここに挙げたのは確認のきっかけになる例であり、掲載の可否を判断するものではありません。必ず厚生労働省の医療広告ガイドライン、医療広告ガイドラインに関するQ&Aなどの一次資料をご確認ください。
- 厚生労働省は医療機関のウェブサイトなどを対象とした監視の取り組み(ネットパトロール)も行っています。公開済みのページも定期的に見直しましょう。
- 判断に迷う表現は、所属する歯科医師会や保健所、医療広告に詳しい専門家に相談するのが確実です。
ホームページ制作を依頼する前に院内で決めておくこと
歯科医院のホームページ制作を外部に依頼する場合でも、中身を決めるのは医院です。準備が不十分なまま依頼すると、ひな形どおりの文章が並び、どこの医院か分からないページになりがちです。打ち合わせの前に、次の項目を院内で話し合っておきましょう。
決めておきたい6つのこと
- 目的:新しい患者さんの予約を増やしたいのか、採用を強化したいのか、既存の患者さんへのお知らせを充実させたいのか。目的によってページ構成が変わります
- 来てほしい患者さん像:たとえば「近隣の子育て世代の家族」など。誰に向けたページかが決まると、写真や言葉選びがぶれにくくなります
- 予約の受け方:電話のみか、Web予約やLINEも使うか。ホームページのボタンの置き方に直結します
- 載せる情報と担当者:診療時間、料金表、院長の方針、スタッフ紹介など、誰が原稿や写真を用意するのか
- 更新の担当:臨時休診やお知らせを誰が、どのくらいの頻度で更新するのか。院内で更新できる仕組みが必要か
- 表現の確認者:医療広告のルールに照らして、公開前に誰が最終確認をするのか
院長の言葉で「考え方」を書き出しておく
制作会社は文章を整えることはできますが、貴院の考え方そのものはつくれません。「どんな患者さんにどう接したいか」「子どもの診療で大切にしていること」を、箇条書きでよいので院長が書き出しておくと、打ち合わせがぐっと具体的になります。開業の経緯や、地域への思いも素材になります。
写真は「何を撮るか」のリストを先につくる
撮影当日に何を撮るか決めていないと、外観と受付だけで終わってしまうことがあります。外観、駐車場の入口、受付、待合室、診療室、院長とスタッフ、子どもへの説明の様子(同意を得たモデルで)など、ページ構成に合わせて撮影リストをつくっておきましょう。ブランディングの観点から待合室をどう見せるかは待合室から始めるブランディングの記事も参考になります。
制作会社への最初の連絡では、「目的」「来てほしい患者さん像」「予約の受け方」「公開したい時期」の4点を伝えるだけでも、提案の精度が上がります。複数の会社に相談する場合は、同じ内容を伝えると比べやすくなります。
見積もりの見方と、公開後の運用
ホームページ制作の見積もりは、会社によって項目の分け方も含まれる作業もまちまちです。合計金額だけを見て比べると、公開後に「これは別料金だった」ということになりかねません。金額の大小より、何が含まれていて、何が含まれていないのかを確認することが大切です。
見積もりで確認したい項目
| 確認項目 | 聞いておきたいこと |
|---|---|
| ページ数と構成 | 何ページ分の制作か。ページを追加するときの扱い |
| 原稿作成 | 文章は医院が用意するのか、制作会社が取材して書くのか |
| 写真撮影 | 撮影は含まれるか。素材写真で済ませる部分はどこか |
| スマートフォン対応 | スマートフォンでの表示を前提にした設計か |
| 更新の方法 | お知らせや診療時間を院内で更新できるか。更新を依頼する場合の条件 |
| 公開後の保守 | サーバー・ドメインの管理、セキュリティ更新、不具合時の対応が含まれるか |
| 契約期間と解約時の扱い | 最低契約期間の有無。解約後もドメインやページのデータを医院が引き継げるか |
| 表現の確認 | 医療広告のルールについて、どこまで確認してくれるか(最終判断は医院) |
ドメインとアカウントの名義は医院にしておく
見落とされがちなのが、ドメイン(ホームページのアドレス)や、アクセス解析・地図サービスなどのアカウントの名義です。制作会社の名義になっていると、会社を変えるときにアドレスを引き継げず、これまでの検索での評価や、紙の診察券・看板に載せたアドレスが使えなくなるおそれがあります。契約前に「名義は医院、管理を委託する」形にできるかを確認しましょう。
よくある失敗
- 公開して終わりになり、休診日や診療時間の変更がホームページに反映されていない
- 予約ボタンがトップページにしかなく、下層ページから予約に進みにくい
- 院内の掲示や予約の実際の運用と、ホームページの説明が食い違っている
- きれいな写真ばかりで、駐車場や入口など「実際に来るときに必要な情報」が載っていない
- 制作会社が用意した文章をそのまま公開し、医療広告のルールの確認をしていない
公開後は「問い合わせのきっかけ」を聞いてみる
ホームページを公開したら、初診の方の問診票に「当院を知ったきっかけ」の欄を設けるなどして、ホームページを見て来院した方がどのくらいいるのかを把握しておくと、改善の手がかりになります。受付で「ホームページで分かりにくかったところはありましたか」と聞いてみるのも、すぐにできる方法です。院外での集客全体の考え方は歯科医院の集客方法の記事にまとめています。
ホームページで伝えた「待合室」を、来院時の体験にする|アートパークという選択肢
ホームページで待合室の過ごし方を説明しても、実際に来院したときの体験がそれと結びついていなければ、保護者の印象には残りにくいものです。当社が提供している「アートパーク」は、待合室のテレビ1台で、お子さんが親御さんのスマートフォンで描いた魚などの絵が、大画面の水槽「すいぞくかん」を泳ぎだすサービスです。アプリのインストールや会員登録は不要で、お子さんの氏名・顔写真・生年月日は取得しません。共有のおもちゃやタッチパネルを置かないため、消毒や片づけの手間もかかりません。描いた作品は5分ほど(最長10分)で画面から退場し、日をまたいで残ることはないため、楽しみは「また描きたい」という気持ちになります。お絵かき画面には、予約フォームや公式LINEなどへの案内を1回だけ表示できる(全員に同じ案内が表示されます)ので、ホームページの予約ページへ自然につなげる使い方も考えられます。来院を約束するものではありませんが、ホームページで伝えた「子どもと一緒に来やすい医院」を、待合室で体験してもらうきっかけの一つになりうると考えています。

公開前の見直しチェックリスト
リニューアルの公開前、または今のホームページを見直すときに、院長・事務長とスタッフで確認してみてください。
- トップページを開いてすぐに、診療時間・場所・予約方法が分かる
- スマートフォンで電話番号をタップして発信できる
- 予約ボタンが各ページから押しやすい位置にある
- 子どもの受診の受け入れと、初めての来院の流れを書いている
- ベビーカー・おむつ替え・駐車場など、子連れの来院に必要な情報がある
- 保護者が治療中の子どもの過ごし方を説明している
- 院長の言葉で、子どもへの接し方の考え方を書いている
- 写真に写る患者さん・スタッフの同意を得ている
- 比較・最上級・効果の保証にあたる表現がないか、医療広告ガイドラインで確認した
- 自費診療の紹介に、費用・期間・リスクなどの説明を添えている
- クチコミやSNSの埋め込み内容を確認している
- 臨時休診やお知らせを誰が更新するか決めている
- ドメインと各種アカウントの名義が医院になっている
- 見積もりに含まれる作業と、公開後の保守・解約時の扱いを確認した
- 初診の方に「当院を知ったきっかけ」を聞く仕組みがある
まとめ
歯科のホームページは、医院の紹介の場であると同時に、初めて来院を考える方の不安に答える場所です。子育て世代の保護者は、診療内容に加えて「子どもを連れて行けるか」「待っている間どう過ごすか」「駐車場や予約の方法」を確かめています。こうした疑問に具体的に答えたうえで、ホームページも医療広告のルールの対象であることを踏まえ、表現は厚生労働省の医療広告ガイドラインなどの一次資料で確認しましょう。制作会社に依頼する前には、目的・来てほしい患者さん像・予約の受け方・更新の担当を院内で決め、見積もりは金額より「何が含まれているか」で比べることが大切です。公開後も更新と見直しを続け、ホームページで伝えた医院の姿を、来院時の体験とそろえていきましょう。