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待合室づくり

小児科の隔離室と待合の分け方|発熱の子と健診・予防接種の子を分ける4つの方法と、受付の振り分け・清掃の手順

公開  | アートパーク編集部(株式会社NEVER)

小児科の待合室のベンチで、母親と子どもがスマートフォンをのぞき込んでいる様子

※写真はイメージです。

小児科の待合室には、熱や発疹があって感染症が疑われる子と、乳幼児健診や予防接種のために元気な状態で来た子が、同じ時間に集まります。保護者の側から見ると「健診に来たのに、隣で咳をしている子がいた」という体験は、医院への不安に直結します。この記事では、小児科で隔離室を使う方法を中心に、別待合・車内待機・時間帯分けを加えた4つの分け方を比較表で整理し、受付での振り分けの流れと声かけ例、使用後の清掃の手順、改装や開業の設計段階で建築士や保健所に確認しておきたいことまでをまとめました。院長・事務長の方が、明日の受付から見直せる内容を目指しています。

小児科の隔離室・待合の分け方は「誰と誰を分けるか」から決める

「隔離室を作るかどうか」から考え始めると、部屋の広さや工事の話が先に立ち、運用が後回しになりがちです。まず決めたいのは、貴院の待合で「誰と誰が同じ空間にいてほしくないか」です。分ける対象がはっきりすれば、隔離室が必要なのか、別待合や時間帯分けで足りるのかが見えてきます。

分けたい組み合わせを書き出す

小児科でよく話題になるのは、次のような組み合わせです。

どの組み合わせを、どの程度まで分けるかは、医学的な判断を含みます。院長の方針と、院内の感染対策マニュアル(あれば)に沿って、受付スタッフが迷わない言葉に落とし込んでおくことが大切です。

「空間」「時間」「入口」の3つで分ける

分け方は大きく、部屋を分ける(空間)、来院の時間帯を分ける(時間)、入ってくる経路を分ける(入口)の3つに整理できます。小さな医院では、空間を十分に分けられない分を、時間や入口で補うことが多くなります。どれか一つで完璧を目指すより、組み合わせで現実的なラインを決める方が、スタッフも保護者も無理なく続けられます。

ポイント

分ける対象と方法が決まったら、A4一枚の「振り分け表」にまとめて受付に置きましょう。「熱がある・発疹がある → 隔離室へ」「健診・予防接種 → 一般待合へ」のように、症状と行き先だけを書きます。判断に迷うときは誰に確認するかも一行添えておきます。

隔離室・別待合・車内待機・時間帯分けの比較

小児科で感染対策として待合室を分ける方法は、主に次の4つです。どれが正解ということはなく、建物の条件、駐車場の有無、患者さんの来院パターンによって向き・不向きが変わります。

方法どんな形か向いている医院気をつけたいこと
隔離室一般待合とは別の個室で、症状のある子と保護者に待ってもらう。部屋の中で診察まで行う医院もある新築・改装で部屋を確保できる医院。広がりやすい感染症の疑いがある子を個別に待たせたい医院部屋数に限りがあるため、使用後の清掃と換気の時間を含めて回転を考える必要がある。入口から隔離室までの経路が一般待合を通らないかの確認も要る
別待合パーティションや部屋の仕切りで、発熱の子用の待合と一般待合を分ける個室を複数は作れないが、ある程度の面積がある医院仕切りだけでは空気の流れまでは分けにくい。トイレや受付カウンターを共用するかどうかも決めておく
車内待機駐車場の車の中で待ってもらい、順番が近づいたら電話やメッセージで呼ぶ敷地内や近くに駐車場があり、車で来院する方が多い医院徒歩・自転車の方の行き場を別に用意する必要がある。夏の暑さ・冬の寒さ、車内に子どもを残す時間には十分な配慮が要る
時間帯分け健診・予防接種の専用時間を設け、その時間は症状のある子を受け付けない(または別枠にする)部屋を増やすのが難しい既存の医院。健診・予防接種を予約制にできる医院急な発熱の子をその時間に断ってよいかの方針を決めておく。専用時間の告知を予約画面・院内掲示・Webサイトでそろえる

組み合わせの例

実際には、次のように組み合わせて使うことが多くなります。

どの組み合わせでも、受付・診察・会計の流れの中で「どこで動線が交わるか」を一度図に描いてみると、見落としていた接点に気づきやすくなります。動線の考え方はクリニックの動線設計の記事でも詳しくまとめています。

車内待機を選ぶときの注意

車内待機は工事なしで始められる一方、季節や天候の影響を強く受けます。真夏や真冬にエンジンを切って待ってもらうことになると、保護者にも子どもにも負担です。順番が近づいたらどの方法で知らせるか、どのくらい前に知らせるか、呼び出しに気づかなかったときにどうするかを決めておきましょう。電話での呼び出しはスタッフの手が取られるため、順番待ちの通知の仕組みを使っている医院もあります。

受付での振り分けの流れと声かけ例

どんなに部屋を分けても、症状のある子が一度一般待合に入ってしまえば意味が薄れます。振り分けの勝負は、医院の扉を開ける前、あるいは開けた直後にあります。

来院前に分ける

入口で分ける

来院前の確認をすり抜けて来る方は必ずいます。入口の扉や自動ドアの手前に掲示を出し、症状のある方はインターホンや電話で知らせてもらう、あるいは受付スタッフが入口近くで最初に声をかける形にすると、待合に入る前に振り分けられます。

そのまま使える声かけ例

場面声かけの例
入口で症状を確認する「こんにちは。今日はお熱や咳、ぶつぶつは出ていますか。お熱のある方には別のお部屋をご用意していますので、先に教えてくださいね」
隔離室へ案内する「お熱があるとのことなので、こちらのお部屋でお待ちください。ほかのお子さんと分けて待っていただくための部屋です。順番が来たらこちらにお呼びします」
車内待機をお願いする「申し訳ありませんが、お熱のある方にはお車の中でお待ちいただいています。順番が近づいたらお電話しますので、番号を確認させてください」
健診・予防接種の保護者に説明する「健診と予防接種の方は、こちらの待合でお待ちください。お熱のある方は別のお部屋にご案内していますので、ご安心ください」
すでに一般待合に入ってしまった方へ「お待たせしてすみません。お熱があるようでしたら、別のお部屋が空いていますので移っていただけますか。ゆっくり座れるお部屋です」

大切なのは、症状のある子と保護者を「迷惑な人」のように扱わないことです。保護者は具合の悪い子を連れて、不安な気持ちで来院しています。「ほかの子のために分けている」より「お子さんがゆっくり待てるように」という言い方の方が、気持ちよく移動してもらえます。

注意

よくある失敗

隔離室・待合の清掃と換気の手順

隔離室は、使ったあとの清掃と換気が終わるまで次の方を案内できません。手順と担当を決めておかないと、「誰が拭いたのか分からない」「忙しくて換気を忘れた」ということが起こります。消毒薬の種類や濃度、換気の方法は、院内の感染対策マニュアルや、使っている消毒薬の説明書に従ってください。ここでは、運用として決めておきたい項目を整理します。

使用後の清掃手順の例

  1. 患者さんが退室したら、入口に「清掃中」の札をかける
  2. 窓を開ける、または換気設備を動かし、換気を始める
  3. 手袋など、院内で決めた防護具をつける
  4. 手が触れた場所(ドアノブ、椅子の座面・ひじかけ、テーブル、照明やエアコンのスイッチ、ベビーベッドの柵など)を拭く
  5. ごみ箱の中身を所定の方法で処理する
  6. 清掃が終わった時刻と担当者を記録表に書く
  7. 換気の時間を確保してから「清掃中」の札を外す

拭く場所をリストにしておく

清掃の質は、担当者によってばらつきやすいものです。隔離室ごとに「拭く場所リスト」を壁の内側などに貼っておくと、誰がやっても同じ範囲を拭けます。リストに入れる場所は、部屋の中を実際に見て、手が触れやすいところを洗い出して決めます。

拭く場所リストの例

隔離室に物を置きすぎない

隔離室に絵本やおもちゃをたくさん置くと、子どもは喜びますが、使うたびにすべてを拭く必要が出てきます。拭けない布製のものや細かい部品のあるものは、清掃の負担を大きくします。隔離室には「拭ける・少ない・片づけやすい」を基準に、最小限の物だけを置くのが現実的です。おもちゃ選びと消毒の考え方はキッズスペースのおもちゃ選びと消毒の運用の記事も参考にしてください。

一般待合の清掃も決めておく

症状のある子を分けていても、一般待合をまったく拭かなくてよいわけではありません。健診や予防接種の子も、待合で咳やくしゃみをすることはあります。一般待合については、昼休みと診療終了後など、一日のうちで拭くタイミングを決めておきましょう。

改装・開業の設計時に建築士や保健所に確認すること

隔離室や別入口をつくる改装・新築を考えている場合は、設計の早い段階で専門家に相談することが大切です。部屋の配置や換気の設備は、あとから変えるのが難しい部分です。以下は、相談の場で確認しておきたい項目の例です。どれも医院の条件や地域によって答えが変わるため、ここでの内容を前提とせず、必ず担当の方に確認してください。

相談先確認しておきたいことの例
設計を担当する建築士入口から隔離室まで一般待合を通らずに行ける配置にできるか。隔離室の換気の方式と、空気が一般待合へ流れにくい設計にできるか。隔離室にトイレや手洗いを設けられるか。将来の部屋数の増減に対応できるか
管轄の保健所診療所の開設・変更の届出で、待合や隔離のための部屋について確認が必要な点はあるか。図面の段階で事前相談ができるか。必要な手続きと時期
設備業者(空調・換気)隔離室の換気の能力や、窓を開けにくい部屋での換気の方法。運転音や温度の調整
地域の医師会・近隣の医療機関地域での感染症の流行の傾向や、発熱の子の受け入れについての地域の取り決めがあるか
ポイント

設計の打ち合わせには、「一日の流れ」を書いた紙を持っていくと話が早く進みます。発熱の子が来院してから会計・帰宅までを、入口・待機場所・診察室・会計・出口の順に書き、どこで一般の患者さんと交わる可能性があるかに印をつけておきます。建築士の方に、医院の運用を前提にした提案をしてもらいやすくなります。

法令やガイドラインは一次資料で確認する

医療機関の構造や設備、感染対策に関わるルールは、法令・通知・ガイドラインなど複数の資料にまたがり、改定されることもあります。設計やWebサイトでの告知の内容を決める際は、厚生労働省や自治体が公開している一次資料、管轄の保健所の案内を必ず確認してください。また、感染対策の取り組みをWebサイトで案内する場合は、表現が医療広告ガイドライン(厚生労働省)に沿っているかも確認しましょう。詳しくは医療広告ガイドラインの記事でも取り上げています。

既存の医院でできる小さな改善

大きな改装が難しい場合でも、できることはあります。

どれも、空気の流れや避難経路などに影響することがあるため、変更する前に院長と相談し、必要に応じて専門家に確認してください。

一般待合の過ごし方と、見直しチェックリスト

発熱の子を分けたあとの一般待合は、健診や予防接種で来た子が中心になります。元気な子ほど、待ち時間に退屈して動き回ります。ここで共有のおもちゃを増やすと、清掃の手間が戻ってきてしまいます。「分けたあとの待合で、子どもがどう過ごすか」まで考えておくと、待合全体の運用が楽になります。待合室全体のつくり方は小児科の待合室づくりの記事でまとめています。

共有のおもちゃを置かない待合という選択肢|アートパーク

当社が提供している「アートパーク」は、待合室のテレビ1台で、お子さんが親御さんのスマートフォンで描いた魚などの絵が、大画面の水槽「すいぞくかん」を泳ぎだすサービスです。アプリのインストールや会員登録は不要で、お子さんの氏名・顔写真・生年月日は取得しません。医院に共有のおもちゃやタッチパネルを置かないため、待合での消毒や片づけの手間がかかりません。描いた作品は5分ほど(最長10分)で画面から退場し、日をまたいで残ることはなく、その時間に居合わせた子どうしで一緒に泳ぎます。感染対策のために物を減らした待合でも、子どもが「描く」「見る」で過ごせる時間をつくる工夫の一つとして検討いただけます。モニターはフルHD以上・43型以上が条件で、壁掛けなら床に物を置かずに設置できます(壁への取り付けは医院さまでのご手配です)。

テレビの大画面を、子どもたちが描いた魚が泳いでいる実際の画面
アートパークの実際の画面
チェックリスト

まとめ

小児科の隔離室や待合の分け方は、まず「誰と誰を分けるか」を決めることから始まります。隔離室・別待合・車内待機・時間帯分けにはそれぞれ向き・不向きがあり、多くの医院では組み合わせて使っています。部屋を分けても、症状のある子が一般待合に入ってしまえば効果は薄れるため、来院前と入口での振り分けと、保護者を責めない声かけが要になります。隔離室は使用後の清掃と換気の手順・担当・記録を決め、物を置きすぎないこと。改装や開業の際は、建築士や保健所に早めに相談し、法令やガイドラインは一次資料で確かめてください。発熱の子を分けたあとの一般待合で、健診や予防接種の子がどう過ごすかまで考えておくと、待合全体が安心できる場所になります。

アートパーク編集部(株式会社NEVER)
歯科・小児科の待合室向けに、子どもが描いた絵がテレビの大画面で泳ぐ「アートパーク」を開発・提供しています。愛知県豊川市。