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待合室づくり

小児科の待合室づくり|子どもと保護者が過ごしやすく、感染対策とも両立する工夫

公開  | アートパーク編集部(株式会社NEVER)

手前で子どもが壁の大きな画面に見入り、奥のガラス越しに診療スペースが見えるクリニックの待合室

※写真はイメージです。

小児科の待合室は、体調の悪いお子さん、予防接種や健診で来た元気なお子さん、付き添いの保護者やきょうだいが同じ空間で過ごす、とても条件の難しい場所です。感染対策を優先すると殺風景で居心地が悪くなり、居心地を優先すると共有物が増えて清掃の手間がふくらむ、という板挟みに悩む院長・事務長は少なくありません。この記事では、動線とゾーニングの考え方、保護者が実際に困ること、子どもの過ごし方、清掃・消毒を続けられる運用の作り方を順に整理し、最後に見直し用のチェックリストをまとめます。大がかりな改装をしなくても、明日から手をつけられる工夫を中心にご紹介します。

小児科の待合室は「動線とゾーニング」から考える

小児科の待合室づくりというと、内装の色やキッズスペースの家具に目が向きがちです。しかし最初に決めておきたいのは、「どの患者さんが、どこを通って、どこで待つか」という動線とゾーニングです。ここが曖昧なままだと、どれだけ内装を整えても、受付付近で発熱のお子さんと健診のお子さんが隣り合う、といった状況が日常的に起きてしまいます。

まず押さえたい3つの視点

動線を考えるときは、次の3つの視点で現状を見直すと整理しやすくなります。

建物の広さや構造は医院ごとに違うため、すべてを理想通りにする必要はありません。3つの視点のうち、貴院で無理なく取り入れられるものを組み合わせて考えることが現実的です。

入口から受付までの動線

動線のなかで最も混み合いやすいのが、入口から受付までの数メートルです。発熱のある方には来院前に電話やウェブで申し出てもらい、入口で別の扉や別の受付窓口へ案内する、あるいは院外で待ってもらう、といった運用をあらかじめ決めておくと、受付前での接触を減らせます。入口に「発熱・せきなどの症状がある方は、入る前にお電話ください」といった案内を、子どもを抱えた保護者でも一目で読める大きさで掲示しておくのも有効です。

ベビーカーや抱っこひもの保護者は、両手がふさがった状態で扉を開け、受付で保険証や医療証を探し、子どもを見守るという作業を同時にこなしています。受付カウンターの前に荷物を一時的に置ける台を用意する、ベビーカーの置き場所を入口近くに決めておくといった小さな配慮で、受付前の滞留はかなり減らせます。

隔離待合・別室の考え方

発熱のある方専用の隔離待合や別室を設けられる場合は、一般の待合室を通らずにたどり着ける位置にあることが理想です。新たに部屋を確保するのが難しい場合でも、空いている診察室や処置室を時間帯によって隔離待合として使う、パーティションで区切った一角をつくる、といった方法が考えられます。

隔離待合は狭く、窓のない部屋になりやすいため、保護者と子どもが長く過ごすにはつらい空間になりがちです。ベビーカーが入るか、座る場所が足りるか、呼び出しの声が届くか、換気の方法はどうするかを、実際に保護者の目線で確認しておきましょう。感染対策の具体的な方法については、厚生労働省や自治体、地域の医師会などが公表している最新の情報をあわせてご確認ください。

時間帯で分ける・院外で待つ

予防接種や乳幼児健診を一般診療と別の時間帯に設定する方法は、多くの小児科で取り入れられています。元気なお子さんとその保護者にとっては安心材料になり、医院側も準備や説明をまとめて行えるという利点があります。

また、順番待ちの状況をスマートフォンで確認できる仕組みや、順番が近づいたら電話やメッセージでお知らせする運用があれば、車内や自宅近くで待ってもらうことができます。待合室にいる人数そのものを減らすことは、感染対策と居心地の両方に効く方法です。

エリア主な目的工夫の例
入口・風除室症状のある方を早めに見分け、案内する大きな文字の掲示、事前連絡の案内、ベビーカー置き場
受付手続きを短く、接触を少なく荷物台、書類の事前記入、呼び出し方法の説明
一般待合落ち着いて待てる場所にする座席の間隔、共有物を減らす、子どもが見て楽しめるもの
隔離待合・別室症状のある方の待つ場所を分ける一般待合を通らない動線、座席とベビーカーの余裕、呼び出し手段
授乳・おむつ替え保護者が安心して使えるカーテンや個室、手洗い場との近さ、ごみの捨て方の案内

保護者が待合室で困ること|授乳・おむつ替え・きょうだい連れ

小児科の待合室で実際に過ごしているのは、子どもと同じくらい保護者です。体調の悪い子を連れてきた保護者は、それだけで心身ともに余裕がありません。保護者が困る場面を一つずつ減らしていくことが、結果として「行きやすいクリニック」につながります。

授乳・おむつ替えの場所

乳児を連れた保護者にとって、待ち時間中の授乳やおむつ替えは避けられない場面です。授乳スペースは、カーテンで仕切るだけでも安心感が大きく変わります。授乳室を設けている場合は、その場所が待合室のどこからでも分かるように案内表示を出し、受付で「授乳室はあちらです」と一言添えるだけでも使いやすくなります。

おむつ替え台は、使ったあとの拭き取りや、おむつの捨て方のルールまで含めて設計しておくことが大切です。専用のふた付きごみ箱を置くのか、持ち帰りをお願いするのかを決め、掲示しておきましょう。手洗い場が近くにあるかどうかも、使いやすさを大きく左右します。

きょうだい連れの負担

受診するのは下の子だけでも、上の子を預けられずに一緒に連れてくる保護者は多くいます。元気な上の子は待ち時間に退屈しやすく、保護者は受診する子の看病と上の子の見守りを同時にしなければなりません。きょうだいが座って過ごせる場所や、席を立たずに楽しめるものがあるかどうかは、保護者の負担に直結します。

一方で、体調の悪い子と元気なきょうだいが同じ空間で長く過ごすことには、感染対策の面で気をつけたい点もあります。きょうだいの付き添いについて医院としての考え方を決めておき、必要に応じて受付で案内できるようにしておくと、スタッフごとの対応のばらつきを防げます。

待ち時間の見通しと呼び出し

保護者が最もつらいのは「あとどれくらい待つのか分からない」状態です。順番や目安の時間が分かるだけで、トイレに行く、子どもに飲み物を飲ませる、車に忘れ物を取りに行くといった判断がしやすくなります。呼び出しの方法も、名前を呼ぶのか番号で呼ぶのか、隔離待合にいる方にはどう伝えるのかを決めておきましょう。

手洗い・トイレ・荷物

子ども用の踏み台がある手洗い場、子どもと一緒に入れる広さのトイレ、荷物を掛けられるフックなど、細かい設備が保護者の使いやすさを左右します。待合室の座席のそばに荷物を置ける場所があると、通路にバッグやベビーカーがはみ出すことも減り、転倒の心配も少なくなります。

受付カウンターの横にキッズコーナーがあり、床にはおもちゃも絵本も端末も置かれていない待合室
床に物を置かない待合室は、通路が確保しやすく、清掃もしやすくなります。※写真はイメージです。

子どもの過ごし方|共有のおもちゃに頼らない工夫

小児科の待合室では、子どもが少しでも落ち着いて過ごせることが、保護者の安心にも、スタッフの負担軽減にもつながります。かつては共有のおもちゃや絵本をたくさん置く医院が多く見られましたが、感染対策への意識が高まった今では、共有物をどう扱うかを見直す医院もあります。

共有のおもちゃ・絵本をどう扱うか

共有のおもちゃや絵本は、子どもを喜ばせる一方で、たくさんの手が触れ、口に入れられることもあり、清掃・消毒の対象が増えます。置く場合は、素材が拭き取りやすいものに絞る、数を減らす、使ったものを入れる箱を分けて診療後にまとめて消毒する、といった運用ルールとセットで考えることが欠かせません。

運用が回りきらないと感じる場合は、思い切って共有のおもちゃを置かない選択肢もあります。その場合は、ただ撤去するだけでなく、「代わりに何で過ごしてもらうか」を一緒に考えることが大切です。

触らずに楽しめるものを増やす

共有物を減らしたときの代わりとして考えやすいのが、「見て楽しむもの」です。壁面のイラストや季節の飾り、天井や床のデザイン、窓から見える景色、モニターに映す映像などは、子どもが触らなくても楽しめます。保護者が持っているスマートフォンで遊ぶ子も多いですが、そればかりになると保護者が手を離せなくなるため、待合室の側にも楽しめるものがあると保護者は助かります。

年齢差と体調の差に配慮する

小児科には、乳児から小学生、ときには中学生まで幅広い年齢の患者さんが来院します。乳児の近くで幼児が走り回る、大きな子が小さな子向けのコーナーを居心地悪く感じる、といったことも起こりがちです。乳児と保護者が落ち着いて座れる場所と、少し大きな子が過ごせる場所を緩やかに分けておくと、それぞれが過ごしやすくなります。

また、体調が悪くてぐったりしている子にとっては、にぎやかな音や光がつらいこともあります。映像や音を流す場合は、音量を控えめにする、見なくても済む位置に座れるようにするなど、静かに過ごしたい子の居場所も残しておきましょう。

ポイント

子どもの過ごし方を考えるときは、「何を置くか」よりも先に「誰が、いつ、どうやって清潔を保つか」を決めておくと、置けるもの・置けないものの判断がぶれにくくなります。

清掃・消毒の運用を「続く仕組み」にする

待合室の清掃・消毒は、一時的に頑張るだけでは続きません。忙しい日でも同じ水準を保てるよう、対象・タイミング・担当・記録をあらかじめ決めておくことが重要です。

まず「拭く対象」を減らす

清掃の手間を減らす最も確実な方法は、拭かなければならない物そのものを減らすことです。共有のおもちゃ、雑誌、タッチパネル、布製のクッションなど、待合室にある物を一度すべて書き出し、本当に必要なものかどうかを見直してみましょう。床に物が少ない待合室は、掃除機やモップがけもしやすくなります。

タイミングと担当を決める

手すり、ドアノブ、受付カウンター、椅子の座面や肘掛け、手洗い場、おむつ替え台など、手がよく触れる場所を一覧にし、「いつ」「誰が」拭くのかを決めておきます。担当を曖昧にすると、忙しい時間帯ほど後回しになりやすいため、時間帯ごとに担当を割り当てるのが確実です。

タイミング主な対象運用のコツ
診療開始前座席、受付、手すり、ドアノブ開院準備の手順に組み込み、毎日同じ順番で行う
隔離待合の使用後座席、ドアノブ、使った備品使ったらその都度、担当者を決めておく
おむつ替え台の使用後台の表面、周辺保護者にお願いする範囲と、スタッフが行う範囲を分ける
昼休み・診療終了後待合全体、共有物、手洗い場チェック表に記入し、抜けがないか確認する

記録と見直し

清掃・消毒の実施を簡単なチェック表に記録しておくと、抜けが分かるだけでなく、新しく入ったスタッフへの引き継ぎにも役立ちます。月に一度程度、表を見ながら「負担が大きすぎる項目はないか」「そもそも置かなくてよい物はないか」を話し合う時間を設けると、運用が少しずつ軽くなっていきます。

注意

小児科の待合室を見直すチェックリスト

ここまでの内容を、院長・事務長が待合室を歩きながら確認できるチェックリストにまとめました。すべてを一度に満たす必要はありません。できていない項目のなかから、手間が少なく効果が見込めそうなものを一つずつ選んで取り組んでみてください。

チェックリスト(動線・ゾーニング)
チェックリスト(保護者の負担)
チェックリスト(子どもの過ごし方・清掃)

共有物を置かずに待ち時間を楽しくする一例|アートパーク

ここで、共有のおもちゃを置かずに子どもの待ち時間を楽しくする方法の一例として、私たちが提供している「アートパーク」をご紹介します。先にお伝えしたとおり、待合室づくりでは「拭く対象を減らすこと」と「代わりに何で過ごしてもらうか」をセットで考えることが大切です。アートパークは、この2つを両立させたいという考えから生まれたサービスです。

保護者のスマートフォンで描いた絵が、待合室のテレビで泳ぐ

アートパークでは、お子さんが親御さん自身のスマートフォンで魚などの絵を描くと、その絵が待合室のテレビ(モニター)1台の大画面の水槽を泳ぎだします。現在提供しているコンテンツは「すいぞくかん」です。アプリのインストールや会員登録は不要で、QRなどからブラウザで開いて使います。子どもの氏名・顔写真・生年月日は取得しません。

スマートフォンの画面で、魚の形に色をぬってお絵かきをしている様子
保護者のスマートフォンで開く、お絵かきの画面です。

感染対策の考え方と相性がよい理由

絵を描く道具は、ご家族がふだん使っているスマートフォンです。医院に共有のおもちゃやタッチパネルを置かないため、それらの消毒や片づけは必要ありません。待合室に増えるのは壁際のテレビ1台だけで、スタッフの日々の作業は0分です。先ほどのチェックリストでいえば、「拭く対象を増やさずに、見て楽しめるものを置く」という方向の工夫にあたります。

描いた作品は既定で5分ほど(最長10分)で画面から退場し、日をまたいで残ることはありません。その時間に居合わせた子どうしの絵が、同じ水槽で一緒に泳ぎます。データは医院ごとに分かれているため、他の医院の絵が表示されることもありません。もちろん、体調が悪く静かに過ごしたいお子さんには無理に勧める必要はなく、見るだけでも、描かなくても過ごせます。

待合室のテレビの大画面で、子どもたちが描いたカラフルな魚が泳いでいる実際の画面
実際の画面です。描かれた絵が水槽の中を泳ぎます。

設置について

当社の設置作業は、当社の組み込みデバイスを画面と電源に挿すだけで、現地での作業は10分ほどです(当社の作業に工事はありません)。壁掛けにする場合は床面積を使いませんが、壁への取り付けは医院さまでのご手配となります。スタンドに置く場合も1畳未満に収まります。モニターはHDMI入力・フルHD以上・43型以上が条件で、推奨機種は当社からご案内します。お申込みから設置まではおよそ2週間です。

導入によって来院数などが変わることをお約束するものではありません。あくまで、共有物を増やさずに待ち時間の過ごし方を一つ増やす選択肢として、貴院の待合室に合うかどうかをご検討いただければと思います。

まとめ

小児科の待合室づくりは、内装より先に「誰が、どこを通って、どこで待つか」という動線とゾーニングを決めることから始まります。そのうえで、授乳・おむつ替え、きょうだい連れ、待ち時間の見通しといった保護者の困りごとを一つずつ減らし、子どもが共有物に頼らずに過ごせる工夫を考えていきます。清掃・消毒は、拭く対象を減らし、タイミングと担当と記録を決めることで、忙しい日でも続けられる仕組みになります。まずはチェックリストを片手に待合室を歩き、できることから一つずつ取り組んでみてください。

アートパーク編集部(株式会社NEVER)
歯科・小児科の待合室向けに、子どもが描いた絵がテレビの大画面で泳ぐ「アートパーク」を開発・提供しています。愛知県豊川市。