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待合室づくり

内科の待合室づくり|高齢の方・子ども連れ・発熱など体調の悪い方が同じ空間で待つための席の配置と分け方

公開  | アートパーク編集部(株式会社NEVER)

明るいクリニックの待合室。壁にテレビの画面がかかり、ソファが並んでいる

※写真はイメージです。

内科の待合室には、定期的に通う高齢の患者さん、熱やせきで具合の悪い方、健診や予防接種の方、そして親や祖父母に付き添って来た子どもまで、事情の違う人が同じ部屋で待っています。誰かに合わせると別の誰かが困る、というのが内科の待合室の難しさです。この記事では、内科の待合室を「いろいろな人が同じ空間で待つ」前提で見直すために、席のレイアウト、発熱など体調の悪い方と待合を分ける方法、高齢の方への配慮、子ども連れの付き添い対応を順に整理し、比較表・声かけ例・チェックリストにまとめました。院長・事務長の方に向けた内容です。

内科の待合室は「事情の違う人が同じ部屋で待つ」前提で考える

内科の待合室を見直すとき、最初にやりたいのは「誰が、どんな状態で待っているか」を書き出すことです。おしゃれな家具を入れる、壁紙を変えるといった見た目の改善は、そのあとで十分です。待っている人の事情が分かれば、席の配置も、分け方も、掲示の内容も自然に決まってきます。

待っている人の種類と、それぞれの困りごと

待っている人よくある困りごと待合室でできる配慮
定期通院の高齢の方低いソファから立ち上がりにくい。呼び出しが聞き取りにくい。トイレが遠いひじ掛け付きの席、受付や診察室に近い席、見やすい掲示
発熱・せきなど体調の悪い方座っているのもつらい。周りに気をつかう。うつしてしまわないか不安ほかの患者さんと離れて待てる場所や時間、横になれる場所の案内
健診・予防接種の方具合の悪い人の近くで待つことへの不安。待ち時間が読めない体調の悪い方と離れた席、待ち時間の目安の案内
付き添いの子ども連れ子どもが退屈して動き回る。親が診察中に子どもの居場所がない保護者の近くで座って過ごせる工夫、付き添いの方への声かけ
車椅子・杖・ベビーカーの方通路が狭い。座る場所を探して立ち往生する通路幅の確保、席を外せるスペース

表を見ると分かるとおり、困りごとの多くは「誰とどれくらい離れて座れるか」と「動きやすいか」に集まります。内科の待合室づくりは、この二つを軸に考えると整理しやすくなります。貴院の患者さんの顔ぶれを思い浮かべ、時間帯や曜日によって多い層が変わるかどうかも、受付スタッフに聞いておきましょう。午前は定期通院の高齢の方、夕方は仕事帰りの方や子ども連れ、といった偏りがあれば、それも配置や運用のヒントになります。

内科の待合室のレイアウト|席の配置を見直す手順

内科の待合室のレイアウトは、改装をしなくても、椅子の向きと位置を変えるだけでかなり変わります。次の順番で見直すと、やり直しが少なく済みます。

手順1:入口から受付・診察室・トイレまでの通り道を先に決める

席を並べる前に、患者さんが歩く道を床の上で確かめます。入口から受付、受付から診察室、待合からトイレへの通り道に、椅子や荷物、マガジンラックがはみ出していないかを見ます。車椅子や歩行器の方が通れる幅があるか、実際にスタッフが車椅子を押して確かめるのが確実です。通り道を先に確保し、残った場所に席を置く、という順番が基本です。開業前や移転時に図面から考える場合は、クリニックの動線設計の記事も参考にしてください。

手順2:席を「ゾーン」に分けて考える

同じ待合室でも、場所によって向いている人が違います。待合室をいくつかのゾーンに分けて、それぞれに役割を持たせると、案内がしやすくなります。

ゾーンを決めたら、受付で「こちらの席が呼ばれやすいですよ」「少し離れたあちらの席もご利用いただけます」と案内できるよう、スタッフの間で共有しておきます。

手順3:椅子の向きと間隔を整える

椅子が全部同じ方向を向いて詰めて並んでいると、隣の人のせきが気になったり、呼び出しの声が届きにくかったりします。壁際に沿って並べる、背中合わせの配置を混ぜるなど、向きを少し変えるだけで、人と人との距離感はかなり変わります。長いソファは一人分ずつの間隔が取りにくいため、一人掛けの椅子と組み合わせると調整しやすくなります。

ポイント

高齢の方が多い内科では、座面が低く柔らかいソファより、座面がほどよい高さでひじ掛けのある椅子の方が立ち座りしやすい場合があります。院長や事務長が実際に座って立ち上がってみると、患者さんの負担が実感しやすくなります。荷物や杖を置ける場所がそばにあるかも見ておきましょう。

発熱など体調の悪い患者さんと待合を分ける方法

内科の待合室で、ほかの患者さんが最も気にするのが、発熱やせきのある方と同じ空間で待つことです。発熱患者と待合を分ける方法は、大きく「時間で分ける」「場所で分ける」「動線で分ける」の三つに整理できます。どれか一つに決めるというより、貴院の広さや人員に合わせて組み合わせるのが現実的です。

分け方の比較

分け方具体例向いている医院気をつけたいこと
時間で分ける発熱など体調の悪い方の受診時間帯を設ける。予約の枠を分ける待合室が一つしかない、別室を用意できない医院時間外に急に来院した方への対応を決めておく。時間帯をWebサイトや電話で案内する
場所で分ける別室や仕切られた一角で待ってもらう。車で待ってもらい、順番が来たら電話で呼ぶ空き部屋や駐車場がある医院別室の換気、車で待つ方への連絡方法、体調が急に悪くなったときの見守り
動線で分ける入口や受付の位置を分ける。待合を通らずに診察室へ案内する入口が二つある、または通路を分けられる医院案内表示を分かりやすく。スタッフの移動が増えるため役割分担を決めておく

いずれの方法でも大切なのは、来院する前に患者さんに伝わっていることです。来てから「発熱の方はあちらです」と案内するより、電話やWebサイト、予約の画面で「発熱やせきのある方は、来院前にお電話ください」とお願いしておく方が、待合室で混ざる場面を減らせます。

入口と受付での声かけ例

体調の悪い方を「隔離する」ような言い方は、本人を傷つけることがあります。「おつらいでしょうから」「ゆっくりお待ちいただけるように」と、本人のための案内であることが伝わる言葉を選びましょう。

注意

高齢の患者さんへの配慮|座りやすさ・掲示・呼び出し

内科には、長く定期通院を続けている高齢の方が多く来院します。高齢者の待合室での配慮は、特別な設備よりも「立つ・座る・読む・聞く・移動する」という動作一つひとつの負担を減らすことが中心です。

座りやすさと移動のしやすさ

掲示は「大きく・少なく・目の高さに」

待合室の掲示物が多すぎると、高齢の方には肝心のお知らせが見つけにくくなります。文字は大きく、一枚に書く内容は一つに絞り、座った目の高さで読める位置に貼ります。受付の流れや診察の順番、トイレの場所など、待っている間に知りたいことを優先しましょう。掲示物の整理の仕方は、待合室の掲示物を見直す手順の記事で詳しく解説しています。

呼び出しを聞き逃さない工夫

耳が聞こえにくい方は、呼ばれたかどうか不安で、ずっと受付の方を見ながら待っていることがあります。受付で「呼び出しが聞き取りにくいことはありますか」と一度確かめ、必要な方には近くの席を案内したり、順番が近づいたらスタッフがそばまで行って声をかけたりします。番号で呼ぶ場合は、番号を書いた紙を大きな字で渡すと確認しやすくなります。

付き添いのご家族への声かけ例

付き添いの子ども連れへの対応

内科の待合室には、子ども自身が受診する場合だけでなく、親や祖父母の受診に子どもが付き添ってくる場合もあります。後者は見落とされがちですが、保護者にとっては「自分の診察中、子どもをどうするか」が大きな悩みです。

子どもが付き添いで来たときに起こりやすいこと

医院ができる工夫

子ども連れの方には、通り道から少し外れた、保護者と並んで座れる席を案内します。診察の際は「お子さんもご一緒に診察室へどうぞ」と声をかけ、子どもが一人で待合室に残らないようにするのが基本です。どうしても難しい場合は、スタッフが目の届く範囲にいることを伝えておくと、保護者は安心して診察を受けられます。

子どもの過ごし方として、共有のおもちゃや絵本を置く方法もありますが、体調の悪い方が多い内科では、消毒や片づけの手間を考えると置きにくいと感じる医院も少なくありません。おもちゃを置く場合の考え方はキッズスペースの記事にまとめています。子どもが座ったまま静かに過ごせる工夫があると、周りの患者さんにとっても待ちやすい空間になります。

ポイント

子ども連れの保護者には「お子さんが動き回っても大丈夫ですよ」より、「こちらのお席なら、お子さんと並んでお待ちいただけます」と具体的な居場所を示す方が、保護者の気持ちが落ち着きやすくなります。

待合室のベンチで、母親のスマートフォンを子どもと一緒にのぞき込み、魚の絵に色をぬっている様子
保護者の隣に座ったまま過ごせると、周りの患者さんも落ち着いて待てます。※写真はイメージです。

おもちゃを置かずに、座ったまま過ごせる時間を|アートパークという選択肢

当社の「アートパーク」は、待合室のテレビ1台で、お子さんが親御さんのスマートフォンで描いた魚などの絵が、大画面の水槽「すいぞくかん」を泳ぎだすサービスです。アプリのインストールや会員登録は不要で、お子さんの氏名・顔写真・生年月日は取得しません。共有のおもちゃやタッチパネルを置かないため、消毒や片づけの手間はかかりません。お子さんは保護者の隣に座ったまま描けるので、付き添いで来た子どもが歩き回らずに過ごすきっかけの一つになりうると考えています。作品は5分ほど(最長10分)で画面から退場し、日をまたいで残ることはありません。壁掛けなら床面積を使わず、スタンド置きでも1畳未満に収まります(壁への取り付けは医院さまでのご手配となります)。モニターはフルHD以上・43型以上が条件です。子ども連れが少ない内科では必要性が低い場合もありますので、貴院の患者さんの顔ぶれと照らしてご検討ください。

よくある失敗と、見直しチェックリスト

内科の待合室の見直しでは、良かれと思った工夫が別の患者さんの困りごとを生むことがあります。よくある失敗を先に知っておくと、回り道が減らせます。

よくある失敗

よくある失敗起きること見直しの方向
席を増やそうと詰めて並べる通路が狭くなり、車椅子や杖の方が通れない。隣との距離が近くなる席の数より通り道を優先する。混む時間帯は予約や時間の分け方で調整
発熱の方の案内を入口で口頭だけで行う混雑時に案内が漏れ、待合室で混ざってしまう来院前の電話・Webでの案内と、入口の掲示を組み合わせる
掲示物を足し続ける大事なお知らせが埋もれ、高齢の方が読めない定期的に棚卸しし、一枚一内容・大きな文字に
子ども向けのおもちゃを置いたまま管理が続かない消毒や片づけが追いつかず、かえって不安の種になる管理できる範囲に絞る。置かない工夫も検討する
席の役割をスタッフが知らないせっかくのゾーン分けが案内に活かされない朝礼などで席の役割と案内の言葉を共有する

待合室の見直しは一度で完成させる必要はありません。まずは一つ変えてみて、受付スタッフや患者さんの反応を見ながら少しずつ整えていく方が、現場になじみやすくなります。待合室全体の考え方は、病院の待合室づくりの基本の記事も参考にしてください。

チェックリスト

まとめ

内科の待合室は、高齢の患者さん、発熱など体調の悪い方、健診の方、付き添いの子ども連れなど、事情の違う人が同じ空間で待つ場所です。まず誰が待っているかを書き出し、通り道を確保してから席をゾーンに分けて配置します。発熱患者と待合を分けるには、時間・場所・動線の三つの方法を貴院の条件に合わせて組み合わせ、来院前の案内を欠かさないことが大切です。高齢の方には立ち座りや掲示、呼び出しの負担を減らす配慮を、子ども連れには保護者と並んで座れる居場所を。一度で完成させようとせず、スタッフと患者さんの反応を見ながら、少しずつ整えていきましょう。

アートパーク編集部(株式会社NEVER)
歯科・小児科の待合室向けに、子どもが描いた絵がテレビの大画面で泳ぐ「アートパーク」を開発・提供しています。愛知県豊川市。