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待合室づくり

待合室の掲示物を見直す手順|貼りすぎて読まれない院内掲示の棚卸しと、ポスターの貼り方・絞り方

公開  | アートパーク編集部(株式会社NEVER)

木目の受付カウンターがあるクリニックの待合室。壁掛けの大きな画面の前に、子ども2人がクッションに座っている

※写真はイメージです。

待合室の掲示物は、気づくと増えていきます。届いた啓発ポスター、制度が変わるたびに足した案内、スタッフが手書きでつくった注意書き。一枚ずつには理由があっても、壁一面に並ぶと患者さんは「どれも読まない」状態になり、本当に伝えたい休診のお知らせや予約変更の方法が埋もれてしまいます。この記事では、クリニック・歯科医院の院内掲示を一度すべて棚卸しする手順を、院長・事務長の方向けにまとめました。掲示が求められているものは厚生局などの一次資料で確かめて確実に残し、任意の掲示は目的別に絞り込む。ポスターの貼り方と更新ルールも、チェックリストとともに紹介します。

待合室の掲示物が読まれない理由と、棚卸しの考え方

待合室の掲示物が読まれない原因は、内容よりも「量」と「並べ方」にあることがほとんどです。患者さんは待合室で掲示物を一枚ずつ丁寧に読むわけではありません。ぱっと見渡して、自分に関係がありそうなものだけに目を止めます。掲示物が多いと、その「見渡す」段階で情報が多すぎて、どれにも目が止まらなくなります。

掲示物が増えていく典型的な流れ

どれも自然な行動ですが、「貼る」ルールはあっても「外す」ルールがないため、掲示物は増える一方になります。見直しの目的は、掲示物をただ減らすことではありません。残すべきものを確実に残し、伝えたいことが伝わる状態に戻すことです。

棚卸しは「必須」と「任意」を分けるところから

院内掲示には、法令や保険診療のルールで掲示が求められているものと、医院が任意で貼っているものがあります。この二つを混ぜたまま「減らそう」とすると、外してはいけないものまで外してしまったり、逆に「全部大事そう」で何も減らせなかったりします。まず必須の掲示を確認して確実に残し、残りの任意の掲示を目的で絞る。この順番で進めるのが、迷わずに済む近道です。

掲示が求められるものは一次資料で確かめる

クリニックの院内掲示には、医療法や、保険医療機関として守るルール(保険医療機関及び保険医療養担当規則など)、診療報酬の施設基準の届出に関連して、掲示が求められている事項があります。たとえば、管理者の氏名や診療日・診療時間に関すること、届け出ている施設基準に関すること、保険外の費用に関することなどが代表的です。ただし、何をどのように掲示すべきかは、診療科、届け出ている施設基準、制度の改定によって変わります。この記事では一覧を断定的に示すことはせず、確認の仕方を紹介します。

確認先として押さえておきたい一次資料

確認先確認できること確認のタイミング
地方厚生(支)局のホームページ保険医療機関の掲示事項、施設基準の届出と掲示に関する案内、指導で確認される事項の資料など診療報酬改定の後、新しく施設基準を届け出たとき
厚生労働省の告示・通知療養担当規則、診療報酬の算定方法、施設基準の通知など、掲示の根拠になる文書改定の年、厚生局の資料で根拠を確かめたいとき
医療法と所管の保健所医療機関として院内に掲示する事項。開設届や変更届の内容との整合開設時、管理者や診療時間を変更したとき
個人情報保護に関するガイダンス患者さんの個人情報の利用目的を院内掲示などで示すことについての考え方問診票や連絡方法を変えたとき
所属する医師会・歯科医師会改定時の解説資料や、掲示物のひな形の提供がある場合も改定の説明会や会報の配布時

近年の改定では、院内に掲示している内容をウェブサイトにも載せることが求められるようになった事項もあります。待合室の掲示だけでなく、医院のホームページとの整合も合わせて確認しておくと安心です。対象となる事項や時期は、必ず最新の一次資料で確認してください。

注意

必須の掲示を「一覧表」にしておく

確認した必須の掲示は、表計算ソフトなどで一覧にしておきます。項目は「掲示する内容」「根拠(通知名や厚生局の資料名)」「掲示場所」「ウェブサイト掲載の有無」「最後に確認した日」の5つ程度で十分です。この一覧があれば、改定のたびに何を差し替えればよいかが分かり、担当者が変わっても引き継げます。棚卸しの作業中に「これは外してよいのか」と迷ったときも、一覧を見れば判断できます。

院内掲示の見直し手順|全部はがして4つに仕分ける

必須の掲示を確認したら、いよいよ棚卸しです。貼ったまま「これは要る、これは要らない」と眺めても、見慣れた掲示物はどれも必要に見えてしまいます。休診日など時間の取れる日に、必須の掲示以外をいったん全部はがして机に並べるのがおすすめです。

手順1|写真を撮ってから、はがして並べる

はがす前に、壁ごとに写真を撮っておきます。どこに何が貼ってあったかが後から分かり、患者さんに「前に貼ってあったあの案内は?」と聞かれたときにも困りません。はがした掲示物は、壁の場所ごとに分けて机に並べます。

手順2|1枚ずつ4つの箱に仕分ける

仕分け当てはまるものその後の扱い
必須法令や保険診療のルールで掲示が求められているもの一覧表と照らし合わせ、最新の内容で掲示し直す
残す患者さんが「今日」知る必要があるもの。休診日、受付の流れ、支払い方法、予約変更の方法など内容を見直し、目的別の場所に貼り直す
まとめる内容は役に立つが、壁に貼っておくほどではないもの。健康情報、医院の取り組みの紹介などファイルや冊子、ホームページ、受付での配布に移す
外す期限が切れたもの、内容が重複しているもの、誰に向けたものか分からないもの、日焼けや破れのあるもの処分する。届いた啓発物は送り主の意向も確認する

仕分けに迷ったら、「この掲示を見た患者さんに、何をしてほしいのか」を一言で言えるかどうかを基準にします。言えないものは、多くの場合「まとめる」か「外す」に入ります。

手順3|スタッフに聞いてから決める

受付スタッフは、患者さんから同じことを何度も聞かれている項目を知っています。「よく聞かれること」は掲示で先回りできる内容ですし、逆に「掲示しているのに必ず聞かれること」は、掲示の場所か書き方が合っていないサインです。仕分けた結果を朝礼などで見せ、次のように聞いてみましょう。

手順4|貼り直す前に、書き方を整える

「残す」に入った掲示は、そのまま貼り戻さずに書き方を見直します。一枚に伝えることは一つに絞り、見出しで結論を言います。「〇〇はご遠慮ください」のような禁止の言い方が並ぶと、待合室全体が注意書きだらけの印象になります。「お電話はこちらの外の通路でお願いします」のように、してほしい行動を書く言い方に変えられないかも検討しましょう。

ポイント

手書きやパソコンでつくった掲示物は、書式をそろえるだけでも読みやすくなります。用紙の大きさ、見出しの位置、文字の色を医院で一つの型に決めておくと、誰がつくっても待合室の印象がばらつきません。

任意の掲示は「目的」で絞り込む

必須ではない掲示は、医院の判断で増やしも減らしもできます。だからこそ、目的を決めて絞り込むことが大切です。任意の掲示は、おおむね次の4つの目的に分けられます。

目的例絞り込みの考え方
手続きを迷わせない受付・会計の流れ、保険証や受給者証の提示、予約変更の方法、呼び出しの方法優先度が最も高い。患者さんの動線上、必要になる場所の近くに置く
今日のお知らせ休診日、担当医の変更、混雑する時間帯、一時的な受付方法の変更期限を書き、1か所にまとめる。期限が過ぎたら必ず外す
知ってほしい情報定期検診の案内、予防の情報、医院の取り組み、公式LINEや予約サイトの案内壁には厳選したものだけ。詳しい内容は冊子やホームページへ
マナー・お願い携帯電話の使用、飲食、感染症の症状がある方への案内本当に必要なものに絞り、禁止より行動を示す言い方に

「知ってほしい情報」は入れ替え制にする

医院として伝えたいことは多いものですが、壁に並べられる数には限りがあります。「知ってほしい情報」の枠は、たとえば待合室の1か所だけと決め、そこに貼るものを時期によって入れ替える方法がおすすめです。新しいポスターを貼りたいときは、今貼っているものを外す。これを決まりにしておけば、掲示物の総量は増えません。

届いた啓発ポスターの扱いを決めておく

団体や自治体、企業から届くポスターは、内容が良くても貴院の患者さんに合っているとは限りません。「貼る前に院長か事務長が確認する」「貼る期間を決めて、終わったら外す」など、受け取ったときの扱いを決めておくと、なんとなく貼り続けることを防げます。

院内の掲示物も表現に気をつける

治療や自費診療の案内などを掲示するときは、効果を断定する表現や、ほかの医院より優れていると読める表現になっていないかに注意が必要です。医療に関する広告や表示のルールは、厚生労働省の医療広告ガイドラインなどの一次資料で確認してください。院内掲示と発信全般の注意点は、医療広告ガイドラインと歯科の発信の記事でも整理しています。

待合室のポスターの貼り方と、増やさないためのルール

絞り込んだ掲示物も、貼り方しだいで読まれ方が変わります。待合室のポスターの貼り方は、「どこで・誰が・いつ読むか」を考えて決めます。

場所は「その情報が必要になる場面」の近くに

高さと見え方を、いろいろな目線で確かめる

貼る高さは、立っている大人、座っている人、車いすの方、子どもで見える範囲が違います。ポスターを貼り直したら、実際に待合室の椅子に座り、受付の前に立ち、しゃがんで子どもの目線でも見てみましょう。座った位置から読めない文字の大きさや、照明の反射で読みにくい場所が見つかることがあります。小児科や小児歯科では、子どもの目線の高さに不安をあおる写真や絵が来ていないかも確認します。

貼り方の決まりごとをつくる

貼り方の決まりごと(例)

貼り紙に頼らない伝え方も組み合わせる

掲示物を減らすためには、貼り紙以外の伝え方を持っておくことも役立ちます。予約変更の方法は予約票や診察券に印刷する、医院の取り組みはホームページや公式LINEで詳しく伝える、待合室のテレビを使うなら掲示物と同じ内容を繰り返さず役割を分ける、といった工夫です。テレビやデジタルサイネージの使い分けについては、クリニックのデジタルサイネージ活用ガイドも参考にしてください。

テレビの大画面を、子どもたちが描いた魚が泳いでいる実際の画面
待合室のテレビ1台で、子どもたちの描いた魚が泳ぐアートパークの実際の画面

壁を「読む場所」から「楽しむ場所」に変える|アートパークという選択肢

当社の「アートパーク」は、待合室のテレビ1台で、お子さんが親御さんのスマートフォンで描いた魚などの絵が、大画面の水槽「すいぞくかん」を泳ぎだすサービスです。アプリのインストールや会員登録は不要で、お子さんの氏名・顔写真・生年月日は取得しません。共有のおもちゃやタッチパネルを置かないため、消毒や片づけの手間もかかりません。描いた作品は5分ほど(最長10分)で画面から退場し、日をまたいで残ることはありません。

掲示物の見直しとの関わりでいえば、お絵かき画面に予約フォームや公式LINE、アンケートなどへの案内を1回だけ表示できる点があります(全員に同じ案内が表示されます)。壁に貼っていた「公式LINEはこちら」のようなポスターの役割の一部を、描き終えたタイミングの案内に置き換えるといった使い方も考えられます。お絵かきの入口は紙のPOPで案内するため、掲示物の枠を1つ使うことになりますが、壁一面の貼り紙を減らし、待合室に子どもが楽しめる場所をつくるきっかけの一つになりえます。

よくある失敗と、見直しチェックリスト

院内掲示の見直しは、一度やって終わりではありません。よくある失敗を知っておくと、せっかく整えた待合室が元に戻るのを防げます。

よくある失敗起きること防ぎ方
必須の掲示まで外してしまう保険診療のルールで求められる掲示が待合室から消える先に必須の一覧表をつくり、照らし合わせてから外す
古いひな形をそのまま使う改定前の内容が掲示されたままになる改定のたびに一次資料で確認し、一覧表の確認日を更新する
減らしたが、外すルールを決めていない数か月で元の量に戻る掲示終了日の記入と、月1回の点検日を決める
院長だけで決める受付でよく聞かれる案内まで外してしまう仕分けの結果をスタッフに見せ、困る場面を聞く
掲示とホームページの内容がずれる診療時間や休診日の情報が食い違い、問い合わせが増える変更の連絡を受けたら、院内掲示とホームページを同時に直す担当を決める
チェックリスト

待合室全体の見直しの順番は、歯科医院の待合室を見直すポイントの記事でも、音や視線、子ども連れの方への配慮とあわせて紹介しています。

まとめ

待合室の掲示物は、「貼る」理由はあっても「外す」ルールがないために増え続け、肝心のお知らせが読まれなくなりがちです。見直しは、まず医療法や保険医療機関のルールなどで掲示が求められている事項を、地方厚生(支)局などの一次資料で確認し、一覧表にして確実に残すところから始めます。そのうえで必須以外の掲示物を一度すべてはがし、「残す・まとめる・外す」に仕分け、任意の掲示は「手続き」「今日のお知らせ」「知ってほしい情報」「お願い」という目的で絞り込みます。貼り直すときは、情報が必要になる場所の近くに、いろいろな目線で読める高さで貼り、掲示終了日と月1回の点検日を決めておきましょう。院内掲示の見直しを習慣にすることで、伝えたいことが伝わる待合室を保ちやすくなります。

アートパーク編集部(株式会社NEVER)
歯科・小児科の待合室向けに、子どもが描いた絵がテレビの大画面で泳ぐ「アートパーク」を開発・提供しています。愛知県豊川市。