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待合室づくり

クリニックのデジタルサイネージ活用ガイド|院内案内・呼び出し・啓発・子ども向けの使い分けと、選び方・費用の内訳・表示内容の注意

公開  | アートパーク編集部(株式会社NEVER)

明るいクリニックの待合室。壁に大きな画面が1台かかっている

※写真はイメージです。

クリニックにデジタルサイネージを入れたものの、最初に作った案内がずっと流れたまま、休診日のお知らせだけ紙で貼り足している——そんな待合室は少なくありません。デジタルサイネージは「画面を置くこと」より「中身を更新し続けること」に価値がある設備です。この記事では、クリニックのデジタルサイネージの使い道を「院内案内・呼び出し・健康啓発・子ども向け」の4つに分け、設置場所の決め方、製品の種類と選び方、費用の内訳の考え方、更新を止めないための運用ルール、医療広告ガイドラインや個人情報など表示内容の注意までを、導入前に使えるチェックリストとともに整理しました。院長・事務長の方に向けた内容です。

クリニックのデジタルサイネージは「運用する掲示板」と考える

デジタルサイネージは、ディスプレイに文字・画像・動画を表示して情報を伝える仕組みの総称です。クリニックで使う場合、見た目は待合室のテレビと大きく変わりません。違いは「医院が伝えたい内容を、医院が決めた順番で、医院の手で入れ替えられる」点にあります。テレビ番組を流す使い方については待合室のテレビで何を流すかで整理しているので、この記事では「院内の情報を表示する画面」としてのサイネージに絞って考えます。

紙の掲示とサイネージの違い

紙の掲示は手間がかかりませんが、情報が増えるほど壁が埋まり、どれも読まれなくなります。サイネージは1画面で複数の情報を順番に見せられる一方、誰かが中身を入れ替えなければ「古い情報が流れ続ける場所」になってしまいます。

比べる点紙の掲示デジタルサイネージ
情報の量貼れる面積の分だけ。増えると埋もれる1画面で順番に切り替えて見せられる
更新の手間作り直して貼り替えるデータを差し替える。担当者がいないと止まる
期限のある情報はがし忘れが起きやすい表示期間を決めて自動で終了できる製品が多い
じっくり読む情報向いている(自分のペースで読める)不向き(数秒で次へ切り替わる)
費用印刷代程度機器・配信の仕組み・コンテンツ制作がかかる

大切なのは、どちらか一方に寄せることではなく役割を分けることです。診療時間や料金のように、患者さんが立ち止まって確かめたい情報は紙やホームページにも残し、サイネージは「今日・今週・今月のこと」や「目を向けてほしいこと」を受け持つ、と決めておくと中身がぶれません。

使い道は4つ|院内案内・呼び出し・啓発・子ども向け

病院やクリニックのデジタルサイネージの使い道は、大きく4つに分けられます。1台にすべてを詰め込むと、どれも中途半端になりがちです。まずは貴院で一番困っていることがどれかを決め、それを主役にします。

使い道表示する内容の例向いている場所気をつけたいこと
院内案内休診日・診療時間の変更、予防接種や健診の受付開始、問診票の書き方、駐車場の案内入口・受付横古い情報を残さない。期限を必ず決める
呼び出し受付番号、診察の順番、「○番の方は検査室へ」などの案内待合正面・診察室前氏名を出さない。音声や声かけと併用する
健康啓発季節の感染症の注意、手洗い・歯みがきの方法、受診の目安、健診の大切さ待合正面表現のルールに注意。数字や効果を断定しない
子ども向けアニメーション、絵本の読み聞かせ映像、参加型のコンテンツキッズスペースの近く音量と見せる時間。権利関係の確認

院内案内|「今日伝えたいこと」を1枚1テーマで

院内案内は、サイネージの使い道として最も効果が見えやすいものです。受付で毎回口頭で説明していること——「保険証の確認」「マイナンバーカードの受付方法」「お薬手帳のお願い」など——を書き出し、そのうち患者さんが待っている間に読めば済むものを画面に移すと、受付の説明の回数を減らせることがあります。1枚の画面には1つのテーマだけを載せ、文字は遠くの席からでも読める大きさに絞ります。

呼び出し|表示と声かけの両方で

受付番号の表示は、声の呼び出しを減らせるうえ、あと何番目かが分かることで待つ側の不安をやわらげる助けにもなります。ただし、画面を見ていない方、目が見えにくい方、高齢の方もいるため、表示だけに頼らず、音声や声かけと組み合わせるのが基本です。予約システムや受付システムと連動させる場合は、どの製品と連携できるかを導入前に必ず確認します。

健康啓発|待ち時間を「知る時間」に

季節の感染症への注意や、手洗い・歯みがきの方法、健診や予防接種の案内は、待ち時間に目に入る場所に向いています。内容は院長が確認したものに限り、長い説明は短く区切って順番に見せると、途中から見た人にも伝わります。

子ども向け|「見せる」か「関わる」か

小児科や歯科では、子どもが画面に集中してくれる時間が、保護者にとっての安心になります。アニメーションなどを流す方法のほか、子どもが参加できるコンテンツを選ぶ方法もあります。院内案内と同じ画面に子ども向けの映像を混ぜると、案内のたびに子どもの注意が途切れるため、画面を分けるか、時間帯で切り替えるのがおすすめです。子ども連れの待合室全体の工夫は病院の待合室づくりの基本も参考にしてください。

設置場所の決め方|入口・受付横・待合正面・診察室前

同じ内容でも、画面を置く場所によって見られ方は大きく変わります。設置場所は「誰が・どのくらいの時間・どの姿勢で見るか」から決めます。

場所見る人と時間合う内容
入口・風除室入ってくる人が数秒だけ見る休診・受付時間の変更、発熱時の受付方法など一言で伝わる案内
受付横受付を待つ人・会計を待つ人が短時間見る持ち物のお願い、次回予約の案内、支払い方法
待合正面座っている人が数分〜数十分見る呼び出し表示、健康啓発、子ども向け
診察室・検査室の前呼ばれる直前の人が見る呼び出し表示、検査前の注意事項

設置前に現地で確かめること

ポイント

「画面を大きくすれば読まれる」とは限りません。座る位置と画面の距離、文字の大きさ、1画面の情報量の3つをそろえて考えます。設置場所が決まったら、表示したい画面の見本を印刷して実際の距離から見てみるだけでも、文字の詰め込みすぎに気づけます。

製品の種類と選び方、費用の内訳の考え方

デジタルサイネージの製品は、仕組みによっていくつかの種類に分かれます。どれが優れているかではなく、貴院で「誰が・どこから・どのくらいの頻度で」更新するかに合うものを選ぶのが基本です。

種類仕組み向いている医院確認したいこと
USBメモリなどで再生画像や動画を記録媒体に入れ、画面やプレーヤーで繰り返し再生内容をほとんど変えない、台数が少ない差し替えのたびに現地で作業が必要
クラウド配信型管理画面からインターネット経由で内容を配信・予約更新が多い、院外から更新したい、複数台・複数院月々の利用料の有無、管理画面の使いやすさ、通信が切れたときの表示
受付・呼び出しシステム連動型受付番号や順番の情報を画面に自動表示呼び出しを画面で行いたい今使っている予約・受付システムと連携できるか
参加型・専用コンテンツ決まった目的のコンテンツを画面に表示する子ども向けなど、目的がはっきりしている画面の条件、ほかの用途との両立

費用は「4つの内訳」で見積もりを比べる

サイネージの費用は、提案ごとに含まれるものが違うため、総額だけを比べると判断を誤りやすくなります。見積もりを取るときは、次の内訳に分けて並べてみてください。相場は製品や規模によって大きく変わるため、必ず複数の見積もりで確かめることをおすすめします。

注意

表示内容の注意|医療広告ガイドライン・個人情報・著作権

サイネージに何を表示するかは医院の自由ですが、医療機関ならではのルールがいくつかあります。断定的な判断はここでは避け、確認すべき一次資料と、迷いやすい点を挙げます。

医療広告ガイドラインの考え方を押さえる

医療機関の広告は医療法と、厚生労働省の「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関して広告し得る事項等及び広告適正化のための指導等に関する指針(医療広告ガイドライン)」で表現が定められています。ガイドラインには、どのようなものが「広告」に当たるかの考え方も示されています。院内の画面であっても、窓の外から見える位置に置く場合や、同じ内容をホームページやSNSに転用する場合は、扱いが変わることがあります。

表現の面では、次のような内容は特に慎重に確認します。

判断に迷う場合は、厚生労働省のガイドライン本文やQ&Aを確認し、必要に応じて所管の保健所や専門家に相談してください。

呼び出し表示と個人情報

待合室の画面は、その場にいる全員が見ます。呼び出しには受付番号を使い、氏名を表示しない運用が一般的な考え方です。氏名の一部やイニシャルでも、ほかの情報と組み合わせて本人が分かることがあるため注意します。検査名や診療科の細かい内容を番号と一緒に表示すると、周りの人に受診内容が伝わってしまうこともあります。取り扱いは個人情報保護法や、個人情報保護委員会・厚生労働省が示している医療・介護関係事業者向けのガイダンスに沿って、院内の規程として決めておきましょう。

映像・画像・音楽の権利と、製品の宣伝

ネット上の画像や市販の映像・音楽を許可なく院内で表示・再生すると、著作権などの問題になることがあります。素材は自院で作ったものか、院内での利用が認められたものに限ります。特定の製品を紹介する場合は医薬品医療機器等法などのルールにもかかわるため、提供元の資料をそのまま流す前に内容を確かめます。

注意

サイネージのコンテンツを外部に制作・代行してもらう場合も、表示内容の最終確認は医院が行う体制にしておきましょう。「業者が作ったものだから大丈夫」とは限りません。

更新を止めない運用ルールと、よくある失敗

サイネージの導入でつまずく原因の多くは、機器ではなく運用です。導入前に、次の4つを院内の決まりとして紙に書いておきます。

決めること決め方の例
担当者更新の担当(主・副の2名)、内容を確認する人(院長または事務長)
更新の頻度お知らせは毎週○曜日に見直す。啓発は季節ごとに入れ替える
確認の流れ担当が作る → 院長が表現を確認 → 表示期間を設定して公開
電源と不具合朝の開院準備で電源を入れて表示を確認する人、映らないときの連絡先

受付スタッフへの声かけ例

更新が続くかは、現場が「自分の仕事」と思えるかにかかっています。朝礼では次のように具体的な行動で伝えます。

よくある失敗

待合室のテレビの大画面を、子どもたちが描いた魚が泳いでいる実際の画面
子ども向けの画面の例(アートパークの「すいぞくかん」)

子ども向けの1台を「更新しなくていい画面」に|アートパークという選択肢

子ども向けの画面は、内容を入れ替え続けないと飽きられやすく、更新の負担が大きくなりがちです。当社の「アートパーク」は、待合室のテレビ1台で、お子さんが親御さんのスマートフォンで描いた魚などの絵が、大画面の水槽「すいぞくかん」を泳ぎだすサービスです。画面に映るのはその時間に居合わせた子どもたちの絵なので、医院がコンテンツを作り替える必要はありません。作品は約5分(最長10分)で画面から退場し、日をまたいで残ることはありません。

アプリのインストールや会員登録は不要で、お子さんの氏名・顔写真・生年月日は取得しません。共有のおもちゃやタッチパネルを置かないため、消毒や片づけの手間もかかりません。お絵かき画面には、予約フォームや公式LINEなどへの案内を1回だけ表示できます(全員に同じ案内です)。モニターはフルHD以上・43型以上が条件で、壁掛けなら床面積0、スタンド置きでも1畳未満に収まります(壁への取り付けは医院さまでの手配となります)。院内案内用のサイネージとは画面を分け、子ども向けの1台として組み合わせる使い方を想定しています。

導入前チェックリスト

チェックリスト

まとめ

クリニックのデジタルサイネージは、画面を置いた日ではなく、中身を更新し続けて初めて役に立つ設備です。使い道を院内案内・呼び出し・健康啓発・子ども向けの4つに分け、1台目は主役を1つに絞ります。設置場所は見る人と見る時間から決め、製品は「誰がどのくらいの頻度で更新するか」で選び、費用は機器・設置・配信・コンテンツと運用の内訳で比べます。表示内容は、医療広告ガイドライン、個人情報の扱い、素材の権利を一次資料で確かめたうえで、院長が最終確認する流れをつくりましょう。担当・頻度・確認の流れ・電源の4つを院内の決まりにしておけば、サイネージは「古い情報が流れ続ける画面」ではなく、受付と患者さんをつなぐ掲示板になります。

アートパーク編集部(株式会社NEVER)
歯科・小児科の待合室向けに、子どもが描いた絵がテレビの大画面で泳ぐ「アートパーク」を開発・提供しています。愛知県豊川市。