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待合室づくり

待合室の椅子の選び方と配置|クリニックの待合ソファ・ベンチを高さ・座面・ひじ掛け・素材で比べ、高齢者や子連れに配慮するレイアウト

公開  | アートパーク編集部(株式会社NEVER)

明るいクリニックの待合室に、ソファと椅子が壁に沿って並んでいる様子

※写真はイメージです。

待合室の椅子は、患者さんが医院で最も長く触れる家具です。見た目で選んだソファが「低くて立ち上がれない」「布張りで汚れが落ちない」と後から困りごとの種になることは少なくありません。一方で、椅子の選び方と配置を見直すだけで、高齢の方や妊婦さんが座りやすくなり、子連れのご家族が周りに気をつかわずに待てるようになります。この記事では、待合室の椅子・クリニックの待合ソファ・ベンチの種類ごとの向き不向き、高さ・座面・ひじ掛け・素材の比べ方、向きと間隔の決め方、子連れ家族の席とキッズスペースとの位置関係までを、比較表とレイアウト例、チェックリストでまとめました。

待合室の椅子は「誰が・どれくらい座るか」から決める

待合室の椅子選びで最初にやることは、カタログを開くことではありません。貴院の待合室に「どんな人が」「どれくらいの時間」「何人同時に」座るのかを書き出すことです。ここが曖昧なまま選ぶと、見た目は整っていても使いにくい待合室になりがちです。

患者さんの顔ぶれを書き出す

診療科や地域によって、待合室に座る人の顔ぶれは大きく違います。次のような観点で、受付スタッフと一緒に思い浮かべてみてください。

「混む時間帯」の人数で席数を考える

席数は、1日の平均ではなく、混み合う時間帯に同時に待っている人数で考えます。患者さん本人だけでなく、付き添いの家族も座ることを忘れないようにしましょう。受付で1〜2週間ほど、混む時間帯に何人が座っていて、何人が立っていたかを数えてみると、感覚ではなく自院の実態で判断できます。席が足りないからといって椅子を詰め込むと、通路がふさがり、かえって動きにくくなります。席数と通路のバランスは配置の節で考えます。

ポイント

「全員にとってちょうどよい椅子」は存在しません。待合室の椅子は、高さや形の違うものを組み合わせて、患者さんが自分に合った席を選べるようにするのが基本です。すべてを同じソファでそろえると見た目は整いますが、座る人を選ぶ待合室になってしまいます。

クリニックの待合ソファ・椅子・ベンチを比べる

待合室で使われる座席は、大きく分けると「ソファ」「ベンチ」「連結椅子」「一人掛けの椅子」の4つです。それぞれに得意な場面と苦手な場面があります。

種類向いている場面気をつけたいこと
ソファくつろいだ雰囲気をつくりたい、家族で並んで座ってほしい座面が低く柔らかいものは立ち上がりにくい。詰めて座れる分、隣との距離が近くなる
ベンチ(背もたれなし・あり)限られた広さで席数を確保したい、壁際や窓際に沿って置きたい背もたれがないと長時間はつらい。ひじ掛けがないと高齢の方が立ち上がりにくい
連結椅子(脚でつながった椅子)一人ずつの区切りをはっきりさせたい、並びを崩したくない家族で寄り添って座りにくい。動かせないため配置の変更がしにくい
一人掛けの椅子(ひじ掛けつき)高齢の方・妊婦さん・体調の悪い方の「座りやすい席」として同じ面積あたりの席数は少なめ。軽いものは立ち上がるときに動いてしまう

待合室のベンチの選び方は「背もたれ」と「区切り」で分かれる

ベンチは省スペースで席数を確保しやすい一方、選び方を間違えると座り心地の悪さが目立ちます。待ち時間が短い医院なら背もたれなしでもよいかもしれませんが、待ち時間が長くなりやすい医院では背もたれつきを選ぶ方が無難です。また、座面に区切りやひじ掛けがあるタイプは、一人分の範囲が分かりやすく、隣の人との距離を保ちやすくなります。区切りのない長いベンチは、子どもが寝転んだり、荷物を広げて置いたりしやすい点も考えておきましょう。

ソファは「家族席」として使うと生きる

クリニックの待合ソファは、詰めて座れることが長所です。この長所が生きるのは、親子やきょうだいが並んで座る場面です。待合室全体をソファにするのではなく、一角を「家族で座れる席」としてソファにし、ほかを一人掛けやベンチにすると、それぞれの役割がはっきりします。

座りやすさを決める5つの要素|高さ・座面・背もたれ・ひじ掛け・素材

同じ種類の椅子でも、細かな仕様によって座りやすさは大きく変わります。カタログの写真だけでは分からないことが多いため、可能であればショールームなどで実際に座り、立ち上がってみることをおすすめします。

要素確かめること困りごとの例
座面の高さ深く腰かけたとき、足の裏が床にしっかりつき、膝が腰より上がりすぎないか低すぎて立ち上がれない/高すぎて小柄な方の足が浮く
座面の奥行き・硬さ背もたれに寄りかかっても膝裏が座面の端に当たらないか。沈み込みすぎないか奥行きが深く、浅く腰かけて前のめりになる/柔らかく沈んで立てない
背もたれ腰から背中を支えるか。背もたれが後ろに倒れすぎていないか寄りかかると体が後ろに倒れ、起き上がるのに力がいる
ひじ掛け立ち上がるときに体重をかけて押せる位置・強さか。座面の前の方まで伸びているかひじ掛けが短く、手をつく場所がない/ぐらついて危ない
素材・張り地水拭きやアルコールなどで拭けるか。縫い目や隙間に汚れがたまりにくいか布張りに飲み物や嘔吐物が染みる/消毒で表面が傷む

高さとひじ掛けは「立ち上がり」で判断する

椅子を選ぶとき、多くの人は座った瞬間の心地よさで判断します。しかし待合室で問題になりやすいのは、呼ばれて立ち上がるときです。高齢の方や妊婦さん、足をけがしている方にとって、低く柔らかいソファは「座るのは楽でも立つのがつらい」席になります。高さが選べない場合でも、ひじ掛けがしっかりしていれば、手で押して立ち上がりやすくなります。具体的な寸法の考え方は、国土交通省の「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」なども参考に、設計者や家具の担当者と確認してください。

素材は「拭き取りやすさ」と「消毒への強さ」で選ぶ

医院の椅子は、毎日多くの人が座り、ときには飲み物をこぼしたり、体調の悪い方が嘔吐したりすることもあります。張り地は、水拭きや、院内で使っている消毒剤で拭いても傷みにくいものを選びましょう。合成皮革やビニールレザー系の張り地は拭き取りやすいものが多い一方、使う消毒剤との相性によっては表面が劣化することがあります。購入前に、貴院で使う消毒剤で拭いてよいかをメーカーや販売店に確認しておくと安心です。

注意

待合室の椅子の配置|向き・間隔・通路とレイアウト例

同じ椅子でも、置き方によって待合室の居心地は大きく変わります。待合室の椅子の配置を考えるときは、「向き」「間隔」「通路」の3つを順に決めていきます。

向き|視線がぶつからないようにする

椅子を向かい合わせに置くと、知らない人と正面から目が合い、落ち着かない待合室になりがちです。患者さんの多くは体調の悪さや治療への不安を抱えて座っています。椅子は同じ方向に並べる、壁に向かって並べる、向かい合う場合は間に観葉植物や低い棚をはさむ、といった工夫で視線を和らげられます。一方で、呼び出しの声や案内表示が見える向きであることも大切です。呼ばれたことに気づけない席があると、聞き逃しや不安の原因になります。

間隔と通路|「すれ違える」「車椅子が通れる」を基準に

椅子と椅子の間、椅子と通路の間には、足を伸ばした人の前を別の人が通れるだけの余裕が必要です。車椅子やベビーカーで来院される方がいる場合は、入口から受付、待合、診察室・トイレまでの通り道に、それらが通れて向きを変えられる場所を確保します。混む時間帯に席が足りないからと補助椅子を通路に置くと、つまずきの原因になります。補助椅子を使うなら、置く場所をあらかじめ決めておきましょう。

レイアウト例|待合室の形で考える

待合室の形椅子の置き方の例配慮のポイント
細長い待合室片側の壁に沿ってベンチや連結椅子を一列に並べ、反対側を通路にする受付に近い端に、ひじ掛けつきの一人掛けを置いて「座りやすい席」にする
正方形に近い待合室壁沿いに「コ」の字に椅子を置き、中央を空けるか低い棚で区切る向かい合う席の間は距離をとる。中央に物を置きすぎない
窓の大きい待合室窓に向かって椅子を並べ、外の景色を見ながら待てるようにする西日やまぶしさに注意。ブラインドで調整できるようにする
キッズスペースのある待合室キッズスペースのそばにソファの家族席、離れた場所に静かに待ちたい方の席保護者が座ったまま子どもを見守れる向きにする

開業前で図面の段階なら、椅子の大きさを紙で切り抜いて図面の上に並べてみると、通路の幅や視線の向きを確かめやすくなります。今ある待合室なら、混む時間帯に実際の座られ方を観察し、空いたまま使われない席や、いつも人が立っている場所を探すところから始めましょう。待合室全体の見直し方は「病院の待合室づくりの基本」でも整理しています。

高齢者・妊婦さんのための「座りやすい席」を決めておく

受付や診察室の入口に近く、トイレにも行きやすい場所に、ひじ掛けつきでやや高めの椅子を数席置き、「座りやすい席」として扱うと、高齢の方や妊婦さん、けがをしている方が移動の負担なく待てます。優先席の表示をするかどうかは医院の考え方次第ですが、表示しない場合でも、受付スタッフが「こちらのお席の方が立ち上がりやすいですよ」と声をかけられるようにしておくと役立ちます。

子連れ家族の席とキッズスペースとの位置関係

子連れのご家族にとって、待合室の椅子は「座る場所」であると同時に「子どもを見守る場所」でもあります。家族の席をどこに置くかで、保護者の気づかいと、ほかの患者さんの過ごしやすさの両方が変わります。

家族席は「見守れる」「荷物が置ける」「出入りしやすい」

キッズスペースとの距離は「近すぎず、遠すぎず」

キッズスペースを置く場合、家族席はそのすぐそばに置くのが基本です。ただし、キッズスペースと静かに待ちたい方の席が近すぎると、子どもの声や動きがお互いの負担になります。家族席とキッズスペースを待合室の一方の側にまとめ、反対側に一人で静かに待ちたい方の席を置くと、自然にゆるやかな区分けができます。キッズスペースの考え方や衛生面については「歯科・小児科のキッズスペース」もあわせてご覧ください。

ポイント

キッズスペースの床にマットを敷く場合、椅子の脚がマットの端にかかると段差ができ、つまずきやすくなります。椅子とマットの間には少し間をあけ、マットの端が通路にはみ出さないようにしましょう。

待合室のベンチで、母親のスマートフォンを子どもと一緒にのぞき込み、魚の絵に色をぬっている様子
席に座ったまま親子で過ごせる工夫があると、子どもが走り回りにくくなります。※写真はイメージです。

席に座ったまま親子で楽しめる|アートパークという選択肢

キッズスペースを置く広さがない、あるいは共有のおもちゃの消毒が負担になっている医院では、「席に座ったまま親子で過ごせる工夫」も一つの考え方です。当社の「アートパーク」は、待合室のテレビ1台で、お子さんが親御さんのスマートフォンで描いた魚などの絵が、大画面の水槽「すいぞくかん」を泳ぎだすサービスです。アプリのインストールや会員登録は不要で、お子さんの氏名・顔写真・生年月日は取得しません。共有のおもちゃやタッチパネルを置かないため、消毒や片づけの手間はかかりません。描いた絵は5分ほど(最長10分)で画面から退場し、日をまたいで残ることはありません。壁掛けなら床面積を使わず、スタンド置きでも1畳未満に収まるため、椅子の配置を大きく変えずに取り入れやすいのも特徴です(壁への取り付けは医院さまでの手配となります)。家族席から画面が見える位置にテレビがあると、保護者はお子さんの隣に座ったまま一緒に楽しめます。

選ぶ前・置いた後のチェックリストと、よくある失敗

最後に、椅子を選ぶ前と、置いた後に確かめたいことをまとめます。

よくある失敗

失敗起きること防ぎ方
見た目重視で低いソファをそろえた高齢の方が立ち上がれず、スタッフが手を貸す場面が増える一部をひじ掛けつきのやや高い椅子にする
布張りを選んだ飲み物や嘔吐物が染み込み、汚れが落ちない拭き取りやすい張り地を選び、消毒剤との相性を確認する
席数を優先して詰め込んだ通路が狭くなり、車椅子やベビーカーが通れない混む時間帯の人数を数え、通路を先に確保してから席数を決める
全席を向かい合わせにした視線が気になり、落ち着かない。会話が聞こえやすい同じ方向に並べる、間に植物や棚をはさむ
キッズスペースの真横に静かな席を置いた子どもの声で休めない方と、気をつかう保護者の両方がつらい家族席と静かな席を待合室の両側に分ける
チェックリスト

まとめ

待合室の椅子は、「誰が・どれくらい・何人で座るか」を書き出すところから選び始めます。ソファ・ベンチ・連結椅子・一人掛けにはそれぞれ得意な場面があるため、高さや形の違うものを組み合わせ、患者さんが自分に合った席を選べるようにするのが基本です。選ぶときは座り心地だけでなく、立ち上がりやすさとひじ掛け、拭き取りやすい素材を確かめましょう。配置では、視線がぶつからない向き、車椅子やベビーカーが通れる通路を先に確保し、高齢の方や妊婦さんのための「座りやすい席」と、キッズスペースのそばの家族席、静かに待ちたい方の席をゆるやかに分けます。置いた後も混む時間帯の座られ方を観察し、少しずつ整えていくことが、居心地のよい待合室への近道です。

アートパーク編集部(株式会社NEVER)
歯科・小児科の待合室向けに、子どもが描いた絵がテレビの大画面で泳ぐ「アートパーク」を開発・提供しています。愛知県豊川市。