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待合室づくり

整形外科の待合室づくり|杖・車椅子・松葉杖の動線と椅子、診察とリハビリの往復、付き添いの子ども、スポーツのけがの学生を「改装しなくてもできる順」に

公開  | アートパーク編集部(株式会社NEVER)

床に何も置かれていない明るい医院の待合室。壁にテレビの画面が1台かかっている

※写真はイメージです。

整形外科の待合室には、杖や車椅子、松葉杖の方、腰や膝が痛くて低いソファに座れない方、リハビリに通う方、部活でけがをした学生、保護者に連れられて来た子どもが、同じ空間で順番を待っています。難しさは、「動くこと自体がつらい人」が多いことと、診察・検査・リハビリの間を何度も行き来する人がいることです。この記事では、整形外科の待合室で配慮したい点を「杖・車椅子・松葉杖の動線と椅子」「診察とリハビリの往復と待ち時間」「付き添いの子ども」「スポーツのけがの学生」の4つに分け、改装しなくてもできることから順に整理しました。声かけ例・よくある失敗・チェックリストも付けています。院長・事務長の方に向けた内容です。

整形外科の待合室にいる人と、困りごとを整理する

整形外科の待合室を見直すとき、最初にやっておきたいのは「誰が、どんな体の状態で座っているか」を書き出すことです。内科や小児科の待合室と比べると、整形外科は歩く・立つ・座るという動作そのものに困っている人の割合が高くなりがちです。同じ椅子、同じ通路でも、人によって「使いやすい」の条件がまったく違います。

来院する人ごとの困りごと

来院する人待合室で困りやすいこと配慮の方向
杖・歩行器を使う方杖を置く場所がない、低いソファから立ち上がれない、マットや段差につまずきやすいひじ掛けのある椅子、杖を立てかける場所、足元の障害物をなくす
車椅子の方座席の間に止める場所がない、受付カウンターが高い、方向転換できない車椅子で待てる場所を決める、通路を空ける、受付での対応を決める
松葉杖の方両手がふさがる、荷物や上着を持てない、ドアを開けにくい、足を伸ばして座りたい入口・ドアでの手助け、荷物を置く場所、足を伸ばせる席
腰・膝・股関節が痛い方長く座っているのがつらい、立って待ちたい、何度も姿勢を変えたい座面の高さが違う椅子、立って待てる場所、呼び出しの見通し
リハビリに通う方診察とリハビリの順番が分からない、何度も待合室に戻る、毎回同じ説明を聞く流れの見える化、リハビリの受付方法を分かりやすくする
付き添いの子ども待ち時間が長くて退屈する、通路を走って杖や松葉杖の方とぶつかりそうになる保護者の隣で過ごせる工夫、子どもが動き回らない配置
スポーツでけがをした学生部活や学校の合間に来るため時間を気にする、保護者が同伴しないこともある待ち時間の目安を伝える、未成年の受診時の決まりを整える

この表をスタッフと一緒に見ながら、「貴院で多いのはどの人か」を話し合ってみてください。受付・看護・リハビリのスタッフは、それぞれ違う場面を見ています。

「動けない人」を基準に考える

配置や運用は「いちばん動きにくい人」を基準に決めます。松葉杖の方が通れる通路なら、ほかの人も通れます。平均的な人に合わせると、いちばん困っている人が置き去りになります。

「改装しなくてもできる順」で全体を見渡す

整形外科の待合室の改善というと、スロープや手すりの設置、トイレの改修など工事を思い浮かべがちです。もちろん工事でしか解決しない課題もありますが、まずは決まりや配置で変えられることから手をつけると、費用をかけずに困りごとを減らせます。段階に分けると、何から始めればよいかがはっきりします。

段階具体例主に関わる人
1. 決まりと声かけ入口での手助けの決まり、車椅子の方の受付方法、呼び出し方、診察とリハビリの順番の伝え方、未成年の受診時の確認院長・受付・看護・リハビリスタッフ
2. 掲示と案内「お手伝いが必要な方はお声がけください」の掲示、診察からリハビリまでの流れ図、待ち時間の目安、Webサイトでの事前案内受付・事務長
3. 配置換え通路をふさぐ物の撤去、車椅子で待てる場所の確保、マットの見直し、子どもが過ごす場所を通路から離す事務長・スタッフ
4. 小さな買い足しひじ掛け付きで座面の高い椅子、杖ホルダー、足のせ台、荷物かご、滑りにくいマット事務長
5. 改装入口の段差の解消、自動ドア化、手すりの設置、トイレの改修、待合室とリハビリ室の位置関係の変更院長・設計者

段階1と2は今週から、段階3と4は休診日の半日で試せます。改装は、1〜4を試して「それでも残る困りごと」がはっきりしてから検討すると、設計者に優先順位を伝えやすくなります。段差や手すりなどの基準については、国土交通省が公開しているバリアフリー法関連の設計基準などの一次資料を確認し、設計者と相談してください。改装の段取りはクリニックの内装リフォームの進め方でも取り上げています。

杖・車椅子・松葉杖の動線と、座りやすい椅子

整形外科の待合室で最も影響が大きいのが、動線と椅子です。入口から受付、待合の席、診察室、レントゲン室、リハビリ室、トイレまで、一度スタッフが松葉杖や車椅子を借りて実際に動いてみると、普段は気づかない障害物がいくつも見つかります。

入口から席までを「歩いて」確かめる

椅子は「選べる」ようにする

腰や膝が痛い方にとって、座面の低いソファは「座れるけれど立てない」椅子です。一方で、足を伸ばしたい松葉杖の方や、長く座るとつらい腰痛の方もいます。一種類の椅子で全員に合わせるのは難しいため、違う種類の椅子を混ぜて「選べる」状態をつくります。

椅子・席の種類向いている人置き方の工夫
座面が高めで、ひじ掛けのある椅子膝・股関節・腰が痛い方、高齢の方受付や診察室の近くに置き、移動の距離を短くする
端の席・通路側の席松葉杖の方、ギプスで足を伸ばしたい方前に足を伸ばせる空間を空け、足のせ台を用意する
車椅子で待てる場所車椅子の方座席の一部を外して場所をつくり、付き添いの方の椅子を隣に置く
立って待てる場所座っているのがつらい方壁際につかまれる場所を設け、呼び出しが聞こえる位置にする
ソファ付き添いの家族、症状の軽い方、親子診察室から遠い側にまとめ、子どもが過ごす場所と近づける

「ひじ掛けのある椅子は限られているので、必要な方に座ってもらいたい」という場合は、受付で「こちらの椅子の方が立ち上がりやすいですよ」と案内するのが確実です。優先席の表示をする場合は、「足腰のつらい方・おけがをされている方」のように対象を広く書くと、見た目では分かりにくい痛みを抱えた方も使いやすくなります。

杖と荷物の置き場をつくる

椅子に立てかけた杖は倒れやすく、別の人がつまずく原因にもなります。杖ホルダーや杖を立てられる場所を用意しましょう。両手がふさがる松葉杖の方のために、席の近くに荷物かごを置く、受付で荷物を一時的に預かるといった運用も考えられます。

ポイント

入口に「お手伝いが必要な方は、インターホンまたは受付にお声がけください。スタッフが参ります」と掲示しておくと、ドアの開け閉めや受付まで歩くのがつらい方が助けを求めやすくなります。声をかけられたら誰が行くのか、受付が離れられないときは誰が代わるのかも決めておきましょう。

車椅子の方の受付と呼び出し

カウンターが高くても、受付スタッフが外に出て対応する、クリップボードで手元記入してもらうといった運用で解決できることがあります。呼び出しの際は、車椅子や松葉杖の方の席までスタッフが迎えに行く決まりにすると、急いで立ち上がって転ぶ危険を減らせます。

診察とリハビリの往復|整形外科の待ち時間を分かりやすくする

整形外科の待合室の特徴は、「待つ」が一回で終わらないことです。受付をして診察を待ち、レントゲンを撮ってまた待ち、結果の説明を聞いてからリハビリを待つ。リハビリだけの日もあれば、診察とリハビリの両方がある日もあります。患者さんにとっては、この順番と見通しが分からないことが、待ち時間を長く感じさせる大きな理由になります。

流れを一枚の図にする

まず、貴院の来院から会計までの流れを、来院の種類ごとに書き出します。

実際の流れは医院ごとに違うため、貴院の運用に合わせて書き換えてください。これを図にして待合室に掲示したり、初診の方に紙で渡したりすると、「今どこまで進んでいて、次に何をするのか」が患者さん自身で分かるようになります。受付で同じ質問に何度も答える手間も減ります。

リハビリの待合をどう扱うか

リハビリの方と診察待ちの方が同じ待合室に座っていると、「自分の方が先に来たのに、後から来た人が先に呼ばれた」という不満が生まれやすくなります。実際には別の列で順番を管理しているだけでも、患者さんからは見えません。

整形外科の待ち時間の伝え方

待ち時間そのものを短くするのが理想ですが、混雑する時間帯はどうしても待っていただくことになります。そのときに大切なのは、目安を伝えることと、待つ場所を選べるようにすることです。

声かけの例

順番待ちのシステムを使って院外で待てるようにする医院もあります。移動のつらい方にとっては、待合室と車を往復すること自体が負担になる場合もあるため、「院外で待つ」は選択肢の一つとして案内し、無理に勧めないようにしましょう。待ち時間全般の考え方は歯科・小児科の待ち時間対策でも整理しています。

注意

付き添いの子どもと、スポーツのけがの学生

整形外科の待合室には、患者さんとして来る子ども・学生と、保護者や祖父母に付き添って来る子どもの両方がいます。とくに、杖や松葉杖の方が多い待合室で子どもが走り回ると、ぶつかったり、杖につまずいたりする危険があります。子どもがいること自体を問題にするのではなく、子どもが安全に、静かに過ごせる環境を整えることが大切です。

付き添いの子どもが過ごす場所

整形外科に来る子どものけが

子どものけがで受診するときは、本人が痛みや不安を抱え、保護者も慌てていることがよくあります。

スポーツのけがの学生への配慮

部活や競技でけがをした中高生は、放課後や土曜に集中して来院しがちです。学校帰りで制服や部活の服のまま来る、保護者が同伴しない、早く練習に戻りたいと気にしている、といった事情があります。

場面決めておきたいこと
保護者が同伴しない受診未成年の受診時の保護者への連絡・同意の扱い、保険証や医療証の確認方法(貴院の方針と関係する法令・ガイドラインに沿って決める)
混雑する時間帯放課後・土曜の受付の流れ、待ち時間の目安の伝え方、予約枠の考え方
競技への復帰の相談復帰の時期や練習の制限は医師が診察室で伝える。受付や待合室で安易に答えない
学校・部活への書類診断書などの依頼の受け方、受け取りの時期の伝え方

スマートフォンに集中して呼び出しに気づかない学生もいます。番号の掲示画面を使っている場合は「画面が見える席でお待ちください」と一言添えると行き違いが減ります。

待合室のベンチで、母親のスマートフォンを子どもと一緒にのぞき込み、魚の絵に色をぬっている様子
保護者の隣に座ったまま過ごせると、子どもが通路を動き回らずに済みます。※写真はイメージです。

保護者の隣で過ごせる工夫として|アートパーク

当社の「アートパーク」は、待合室のテレビ1台で、お子さんが親御さんのスマートフォンで描いた魚などの絵が、大画面の水槽「すいぞくかん」を泳ぎだすサービスです。お子さんは保護者の隣に座ったまま描けるため、杖や松葉杖の方が行き来する通路を歩き回らずに過ごせます。共有のおもちゃやタッチパネルを置かないので、床におもちゃが散らばることも、消毒や片づけの手間もありません。アプリのインストールや会員登録は不要で、お子さんの氏名・顔写真・生年月日は取得しません。作品は5分ほど(最長10分)で画面から退場し、日をまたいで残ることはありません。壁掛けなら床面積を使わず、スタンド置きでも1畳未満に収まるため、通路を狭くしたくない整形外科の待合室とも相性を考えやすいはずです(壁への取り付けは医院さまでのご手配です)。付き添いの子どもが静かに待てる工夫の選択肢の一つとしてご検討ください。

よくある失敗と、見直しチェックリスト

整形外科の待合室の見直しで、ありがちな失敗をまとめました。

よくある失敗

チェックリスト

まとめ

整形外科の待合室には、杖・車椅子・松葉杖の方、腰や膝の痛みで座るのも立つのもつらい方、診察とリハビリを行き来する方、付き添いの子ども、スポーツでけがをした学生と、体の状態も事情も違う人が同じ空間にいます。動線は「いちばん動きにくい人」を基準に確かめ、椅子は高さや形の違うものを混ぜて選べるようにする。診察とリハビリの流れを図にして、待ち時間の目安を伝える。子どもは保護者の隣で過ごせるようにし、通路から離す。学生の受診には、保護者が同伴しないときの決まりを用意する。多くは改装しなくても、決まり・掲示・配置換え・小さな買い足しから始められます。まずはスタッフと一緒に、松葉杖を持って入口から待合室の席まで歩いてみてください。

アートパーク編集部(株式会社NEVER)
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