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開業・改装

クリニックの内装リフォームの進め方|診療を止めずに改装する段取り・優先順位と、改装せずにできる待合室の見直し

公開  | アートパーク編集部(株式会社NEVER)

木目の受付カウンターがあるクリニックの待合室。壁掛けの大きな画面の前に、子ども2人がクッションに座っている

※写真はイメージです。

開業から年数がたつと、壁紙の汚れや床の傷、受付まわりの使いにくさ、待合室の古さが気になってきます。ただ、クリニックの内装リフォームは「診療を休めない」「何から手をつければよいか分からない」という理由で先送りされがちです。この記事では、開業後の医院の改装を、目的の整理、優先順位のつけ方、診療を止めずに進める段取り、患者さんへの告知、待合室リニューアルで見直す所の順に整理しました。あわせて、大きな工事をしなくてもできる見直しと、よくある失敗、確認用のチェックリストもまとめています。院長・事務長の方に向けた内容です。

クリニックの内装リフォームは「困りごとの書き出し」から始める

内装リフォームを考え始めると、つい「どんな雰囲気にしたいか」から話を進めたくなります。けれども、開業後の改装でまず決めるべきなのは「何を解決したいのか」です。見た目を新しくするだけの改装は、工事が終わった直後は満足できても、受付の混雑や動線の悪さといった日々の困りごとが残れば、スタッフの負担も患者さんの不満も変わりません。

院長・スタッフ・患者さんの3つの目で書き出す

最初の一歩として、院内の困りごとを紙一枚に書き出してみましょう。院長だけで考えると、診療室の不満に偏りがちです。受付スタッフ、看護師や歯科衛生士にも聞き、患者さんの声(アンケートやクチコミ、受付での何気ない一言)も拾います。スタッフには「どこで一番歩き回っているか」「どこで患者さんに同じ説明を何度もしているか」と具体的に聞くと、答えが出やすくなります。

「工事が必要か」「運用で直せるか」を分ける

書き出した困りごとは、工事をしないと直らないものと、配置や運用の工夫で直せるものに分けます。この仕分けをしておくと、工事の範囲を必要以上に広げずに済みます。

困りごとの例工事が必要になりやすいもの工事をせずに試せること
受付が混んで見えるカウンターの位置・形の変更、受付と会計の分離呼び出し方法の見直し、記入物を事前にWebで受け付ける
待合室が狭く感じる間仕切りの撤去、部屋の割り当ての変更家具の数と配置の見直し、床に置いている物を減らす
診療室の声が待合室に聞こえる壁や扉の遮音、扉の位置の変更待合室に小さな音量の音を流す、呼び込み時の声量を決める
古く見える・暗い壁紙・床材の張り替え、照明器具の交換掲示物を減らす、電球の色をそろえる、汚れの集中清掃
段差や通路が使いにくい段差の解消、手すりの設置、通路幅の確保ベビーカーや車いすの置き場所を決める、家具をどけて通路を空ける

「工事をせずに試せること」を先に一か月ほど試してみると、本当に工事が必要な所が見えてきます。試してみて解決したものは、工事の範囲から外せます。

改装する所の優先順位のつけ方

改装したい所が複数あるときは、予算と工期の両方を考えて順番をつける必要があります。おすすめは、次の4段階で並べることです。

順位区分例
1安全・衛生・法令に関わること床のはがれやつまずきやすい段差、水回りの劣化、避難経路の確保、感染対策上の動線
2患者さんの困りごと受付の分かりにくさ、待合室の居心地、プライバシー(声・視線)、子ども連れや高齢者の通りやすさ
3スタッフの業務効率受付と会計の位置関係、物品の置き場所、診療室と滅菌・準備スペースの距離
4見た目・印象壁紙や床の色、照明の雰囲気、サインやロゴの見せ方

見た目の改装は、上の1〜3と同時に行うと効率がよい一方、単独で優先するとほかの困りごとが置き去りになりがちです。「どうせ壁紙を替えるなら、この機会に受付の位置も見直す」というように、上位の課題とまとめて計画しましょう。

ポイント

迷ったときは「毎日、何人がその不便を感じているか」で比べると判断しやすくなります。院長だけが気になっている箇所より、来院する患者さん全員が通る受付や待合室の困りごとの方が、直したときに感じてもらえる変化は大きくなります。

一度にやるか、段階的にやるか

改装は、一度にまとめて行う方法と、数回に分けて行う方法があります。まとめて行うと休診期間は長くなりますが、工事の段取りは一回で済みます。分けて行うと一回あたりの休診は短くできますが、そのたびに養生や片づけが発生し、スタッフや患者さんが工事の影響を受ける期間は長くなります。どちらがよいかは医院の規模や診療体制によって異なるため、施工会社に両方の工程案を出してもらい、比べて決めるのが確実です。

診療を止めずに医院の改装を進める段取り

開業後のクリニックにとって最大の悩みは、工事中も診療を続けなければならないことです。休診日・夜間・連休を使う、区画ごとに分けて工事するなど、診療への影響を小さくする組み立て方があります。

時期ごとにやること

時期やること
計画困りごとの書き出し、優先順位づけ、予算の上限決め。改装の目的を一文で言えるようにしておく
相談・見積もり施工会社に現地を見てもらい、工程案(休診日・夜間・区画分け)と見積もりを出してもらう。物件が賃貸なら、貸主・管理会社への確認もこの段階で行う
行政・関係先への確認診療所の構造や設備の変更に当たる場合、保健所への届出が必要になることがあるため、事前に管轄の保健所へ相談する。消防設備や避難経路に関わる場合は消防署にも確認する
告知院内掲示・ホームページ・予約システムなどで、工事の期間、休診日や診療時間の変更、入口の変更などを知らせる
工事区画ごとの養生、診療中の音・粉じん・においへの配慮、毎日の終わりの清掃と確認
工事後動線と使い勝手をスタッフで確認し、物品の置き場所や案内表示を整える。患者さんの反応を聞いておく

区画を分けて工事する

待合室・受付・診療室を同時に工事すると診療が止まります。たとえば「先に待合室の半分を工事し、残り半分で待ってもらう」「受付は休診日の間に一気に仕上げる」など、使える場所を残しながら順番に進める方法があります。仮設の受付や待合スペースを置く場合は、患者さんが迷わないよう入口から案内表示を出しておきましょう。

患者さんへの告知文の例

工事のお知らせは、期間と「患者さんにとって何が変わるか」を中心に、短く書きます。

告知文の例

「院内改装工事のお知らせ ○月○日(○)〜○月○日(○)まで、待合室の改装工事を行います。期間中は待合室の一部が使えないため、座席が少なくなります。工事は休診日を中心に行いますが、診療時間内にも作業音が聞こえる場合があります。ご不便をおかけしますが、ご理解をお願いいたします。ご予約の変更はお電話・Webで承ります。」

受付では「今、待合室を改装していて、少し狭くなっていてすみません」と一言添えるだけで、患者さんの受け止め方は変わります。スタッフ全員が同じ説明をできるよう、言い方をそろえておきましょう。

注意

待合室リニューアルで見直したい所

医院の改装の中でも、待合室のリニューアルは患者さんが最も変化を感じやすい部分です。設計の基本はクリニックの内装の決め方でも整理していますが、開業後の見直しでは「実際に使ってみて分かった不便」を反映できるのが強みです。

歯科医院の場合は、削る音や消毒の匂い、診療室からの視線など特有の不安もあります。詳しくは歯科医院の待合室を見直すポイントもご覧ください。

キッズスペースは「床に物を置く」以外の方法も考える

待合室のリニューアルを機にキッズスペースを設けたいという相談はよくあります。ただ、おもちゃや絵本を置くと、消毒・片づけ・破損の確認が毎日の業務として増えます。床にスペースを取ると、そのぶん座席や通路が狭くなることもあります。改装の計画段階で「誰が、いつ、どう管理するか」まで決めておくと、工事後に運用が回らなくなるのを防げます。

改装せずにできる見直し

予算や工期の都合で大きな改装ができない場合でも、待合室の印象や使い勝手は変えられます。また、改装の前に試しておくことで、工事で本当に必要な所を見極める材料にもなります。

見直す所やること確認のしかた
掲示物期限切れ・重複・手書きの貼り紙を外し、掲示する場所を決めて枠の中だけにする入口から待合室を見渡して、目に入る紙の枚数を数える
家具の配置使っていない棚や椅子を減らし、通路を広げる。座席の向きを変えて視線がぶつからないようにする混雑する時間帯に、座れない方や通りにくい所がないかを見る
照明電球の色をそろえる、切れかけの照明を替える夕方や雨の日にも待合室の明るさを確認する
音待合室に小さな音量の音楽を流す、呼び込みの声量や呼び方をそろえる受付や診療室の会話が座席でどう聞こえるか、スタッフが座って確かめる
清掃床の黒ずみ・壁の手あか・椅子の破れなど、目立つ所を重点的に手入れする患者さんの目線の高さで、入口から順に歩いて確認する
運用Web問診や順番の案内などで、受付に人がたまらないようにする受付前に並ぶ人数を、時間帯ごとに数日記録する

大切なのは、見直しをしたら一度で終わらせず、決めた日に同じ方法で確認することです。掲示物は気づくとまた増えていきます。月に一度、受付スタッフと一緒に待合室を一周する日を決めておくと、改装した状態を保ちやすくなります。

床に何も置かれておらず、壁に大きな画面が1台だけ掛けられた、明るい待合室
床に物を置かない待合室は、すっきり見えて清掃もしやすくなります。※写真はイメージです。

大きな工事をせずに子どもの居場所をつくる|アートパークという選択肢

当社の「アートパーク」は、待合室のテレビ1台で、お子さんが親御さんのスマートフォンで描いた魚などの絵が、大画面の水槽「すいぞくかん」を泳ぎだすサービスです。共有のおもちゃやタッチパネルを置かないため、消毒や片づけの手間がかかりません。壁掛けなら床面積を使わず、スタンド置きでも1畳未満に収まります(壁への取り付けは医院さまでご手配いただきます)。申込から設置までは約2週間、現地での設置作業は10分程度で、モニターはフルHD以上・43型以上が条件です。

アプリのインストールや会員登録は不要で、お子さんの氏名・顔写真・生年月日は取得しません。作品は5分ほど(最長10分)で画面から退場し、日をまたいで残ることはありません。改装の計画と並行して、待合室の子どもの過ごし方を見直すきっかけの一つとしてご検討ください。

よくある失敗と、着手前のチェックリスト

開業後の改装でよく聞く失敗には、共通する原因があります。着手前に一度目を通しておくと、防げるものが少なくありません。

よくある失敗原因防ぎ方
見た目は新しくなったが、使いにくさは変わらなかった目的を決めずにデザインから入った困りごとの書き出しと優先順位づけを先に行う
工事中にクレームが出た音・粉じん・入口の変更などの告知が不足していた工事の前から院内・Web・予約時に告知し、受付の説明をそろえる
工事後に物の置き場所がなくなった収納の量と場所を確認しないまま間取りを変えた今ある物品を数え、どこに何を置くかまで図面に書き込む
スタッフの動線が長くなった院長と施工会社だけで計画を決めた受付・診療補助のスタッフに図面を見てもらい、1日の動きを確認する
工事の途中で手続きが必要と分かった保健所・消防・貸主への確認が後回しになった計画の段階で関係先に相談し、必要な手続きと期間を工程表に入れる
チェックリスト

まとめ

クリニックの内装リフォームは、見た目から入るのではなく、院内の困りごとを書き出し、「工事が必要か」「運用で直せるか」を分けるところから始めます。優先順位は、安全・衛生・法令、患者さんの困りごと、業務効率、見た目の順。診療を止めずに医院の改装を進めるには、休診日や夜間、区画分けを使った工程を組み、保健所・消防・貸主への確認と患者さんへの告知を早めに済ませておくことが大切です。待合室のリニューアルでは、座席・声と視線・子ども連れの居場所・通りやすさを見直し、大きな工事が難しい場合も、掲示物・家具・照明・音・運用の見直しで印象は変えられます。

アートパーク編集部(株式会社NEVER)
歯科・小児科の待合室向けに、子どもが描いた絵がテレビの大画面で泳ぐ「アートパーク」を開発・提供しています。愛知県豊川市。