待合室のテレビで何を流すか|病院・クリニックの選び方と、音量・利用規約・設置位置の注意点
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待合室のテレビは、多くの病院・クリニックで「とりあえず置いてある」設備です。けれども、何を流すか、どのくらいの音量にするか、どこに置くかによって、患者さんの過ごしやすさも、受付の手間も大きく変わります。地上波をつけっぱなしにするのか、院内案内を流すのか、動画配信サービスやDVDを使うのか、それとも子どもが参加できるコンテンツにするのか。この記事では、待合室のテレビで流せるものを比較したうえで、音量や運用のルール、著作権や利用規約で確認しておきたいこと、設置位置と画面サイズの考え方までを、明日から使えるチェックリストとともにまとめました。歯科・小児科をはじめとする医院の院長・事務長の方に向けた内容です。
待合室のテレビは「何のために置くか」から決める
待合室のテレビについて考えるとき、最初に「何を流すか」から入ると、話がまとまりにくくなります。地上波が良いか、院内案内が良いかは、テレビに何をしてほしいかによって答えが変わるからです。まずは目的をはっきりさせましょう。
待合室のテレビに期待される役割は大きく4つ
- 待ち時間を短く感じてもらう:何もない空間でただ待つより、目に入るものがある方が気がまぎれます
- 医院からのお知らせを伝える:休診日、予約の取り方、検診の案内、取り扱っている診療の説明など
- 子どもを落ち着かせる:歯科・小児科では、子どもが待合室で過ごす時間の質が保護者の負担を左右します
- 医院の雰囲気をつくる:画面に映っているものは、待合室の印象の一部になります
一台のテレビにすべての役割を同時に担わせるのは難しいものです。貴院の患者さんの年齢層、待ち時間の長さ、子どもの来院の多さから、どの役割を優先するかを一つ決めておくと、流すものの選び方がぶれません。
「誰が見るか」を書き出してみる
同じクリニックの待合室のテレビでも、平日の午前と夕方では見る人が変わります。高齢の方が多い時間帯、学校帰りの子どもと保護者が多い時間帯、仕事の合間の社会人が多い時間帯など、時間帯ごとの患者さんの顔ぶれを受付で書き出してみてください。時間帯によって流すものを切り替えるという選択肢も見えてきます。
待合室のテレビで流せるもの5種類を比較する
病院の待合室のテレビで流されているものは、大きく5種類に分けられます。それぞれに向き・不向きがあり、どれが正解ということはありません。
| 流すもの | 良いところ | 気をつけたいこと |
|---|---|---|
| 地上波(テレビ放送) | 準備がいらない。高齢の方にもなじみがある。天気やニュースなど話題が新しい | 番組を選べない。事件・事故・災害の映像や、子どもに見せたくない内容が流れることがある。チャンネルの好みが分かれる |
| 院内案内(スライド・動画) | 医院が伝えたいことを伝えられる。音なしでも成り立つ | つくる手間と更新の手間がかかる。同じ内容の繰り返しになりやすい。表現のルールに注意が要る |
| 動画配信サービス | 作品の種類が多い。子ども向け・環境映像なども選べる | 個人向けの契約を業務で使ってよいかは各サービスの規約しだい。通信環境と操作の手間 |
| DVD・ブルーレイ | 流す内容を医院が決められる。通信がいらない | 家庭用として売られているものを院内で流してよいかの確認が必要。ディスクの入れ替えが手間 |
| 参加型コンテンツ | 見るだけでなく、子どもが関わって楽しめる。待ち時間に「やること」ができる | サービスごとに使い方や必要な機器の条件が違う。導入前に実際の画面を確かめたい |
地上波は「何が流れるか分からない」ことを前提に
地上波の良さは、何もしなくても画面が埋まることです。一方で、ワイドショーで扱われる事件や、災害の映像、医療に関する報道などが流れる可能性があります。体調が悪くて来院している方や、不安を抱えて待っている方にとって、こうした映像は負担になることがあります。小児科や歯科で子どもが多い時間帯は、とくに配慮が必要です。地上波を使う場合は、流す時間帯を決める、子どもが多い時間は別のものに切り替えるといったルールを用意しておくと安心です。
院内案内は「短く・音なしで・更新できる」形に
院内案内は、医院が伝えたいことを確実に伝えられる手段です。ただし、待合室の患者さんは画面をじっと見続けているわけではありません。一枚のスライドに載せる情報は一つに絞り、音がなくても内容が分かるようにします。休診日のお知らせなど日付のある情報を載せる場合は、更新の担当者と頻度を決めておかないと、古い情報が流れ続ける原因になります。
子どもが多い待合室では「見る」より「関わる」も選択肢
歯科や小児科の待合室では、子どもは同じ映像をずっと見ていられるとは限りません。飽きると立ち歩いたり、保護者のスマートフォンを欲しがったりします。見るだけのコンテンツに加えて、子どもが自分で関われるものを用意しておくと、待ち時間の過ごし方に幅が出ます。おもちゃを置く方法も含めた考え方は「歯科・小児科のキッズスペース」で詳しくまとめています。
著作権・利用規約で確認しておきたいこと
待合室のテレビは、家庭のテレビと違い、不特定多数の患者さんが見る場所に置かれています。そのため、何を流すかによっては、著作権や各サービスの利用規約との関係を確認しておく必要があります。ここでは、確認すべき点を整理します。個別の判断は、必ず各サービスの規約や権利者、専門家に確認してください。
流すもの別に、確認する相手が違う
| 流すもの | 確認しておきたいこと | 確認先の例 |
|---|---|---|
| 地上波(受信してそのまま) | 受信した放送をそのまま見せる場合と、録画したものを流す場合とで扱いが変わることがある | 著作権法の条文、文化庁が公開している著作権の解説 |
| 動画配信サービス | 個人・家庭向けのプランを、医院の待合室で流してよいか。業務用・法人向けのプランがあるか | 各サービスの利用規約、問い合わせ窓口 |
| DVD・ブルーレイ | 家庭での視聴を前提にした商品か。院内で流すための許諾や業務用の商品があるか | パッケージの表示、販売元・権利者 |
| BGM・音楽 | 市販の音楽や配信サービスの音楽を院内で流してよいか | 各サービスの規約、著作権管理団体 |
| 院内案内(自作) | 使う写真・イラスト・フォント・音楽の利用条件。医療に関する表現のルール | 素材の利用規約、厚生労働省の医療広告ガイドライン |
- 動画配信サービスの多くは、個人や家庭での利用を想定したプランを用意しています。個人向けのプランを医院の待合室で流してよいかどうかは、サービスごとの利用規約によって異なります。契約前・利用前に、各サービスの規約を必ず確認してください。
- 院長やスタッフ個人のアカウントを待合室で使うと、規約の問題だけでなく、視聴履歴やおすすめ表示など個人の情報が画面に出てしまうこともあります。
- 著作権の扱いは、流し方や使う機器によって変わることがあります。判断に迷う場合は、権利者や弁護士などの専門家に相談してください。
院内案内は表現にも気を配る
院内案内に診療内容の説明を載せる場合は、治療の効果を断定する表現や、ほかの医院と比べて優れていると読める表現にならないよう気をつけます。院内の掲示がどのように扱われるかも含め、医院の広告に関する表現のルールは厚生労働省の医療広告ガイドラインで確認してください。患者さんの写真や体験談を画面に出すことも、本人の同意や表現のルールの面から慎重に考える必要があります。
音量・字幕・チャンネルの運用ルール
待合室のテレビをめぐる困りごとは、実は「何を流すか」より「どう流すか」から生まれることが多いものです。音量やチャンネルのルールが決まっていないと、受付が患者さんの要望にその都度対応することになり、スタッフによって対応もばらばらになります。
音量は「呼び出しが聞こえるか」で決める
待合室の音でいちばん優先すべきは、患者さんを呼ぶ声やアナウンスが確実に届くことです。テレビの音が大きいと、呼ばれたことに気づかない方が出て、受付が何度も呼び直すことになります。次の手順で、貴院の基準を決めておきましょう。
- 待合室がいちばん混む時間帯に、受付からいつもの声の大きさで患者さんを呼んでみる
- いちばん遠い席、テレビにいちばん近い席の両方で、呼び出しがはっきり聞こえるかを確かめる
- 聞こえる音量の上限をテレビの音量の数字で記録し、受付の見えるところに書いておく
- 診療室や個室にテレビの音が漏れていないかも確かめる
院内案内や環境映像のように、音がなくても成り立つものを流すなら、消音にして字幕や文字で伝えるのも一つの方法です。音のない画面は、耳の聞こえにくい方や、静かに過ごしたい方にもやさしい選択になります。
チャンネルとリモコンの扱いを決める
地上波を流す場合、「ほかのチャンネルにしてほしい」「音を大きくしてほしい」という要望は避けられません。リモコンを待合室に置くか、受付で管理するかを決めておきます。受付で管理する場合は、要望への答え方もそろえておくと、スタッフが迷いません。
- チャンネルの変更を頼まれたとき:「申し訳ありません、待合室のテレビはこちらで決めた番組を流しております。お呼び出しの声が聞こえにくくならないよう、音量も控えめにさせていただいています」
- 子どもが画面の前で騒いでしまったとき(保護者へ):「よろしければ、少し離れたこちらの席からもご覧いただけますよ」と、叱るのではなく場所を提案する
- 不安になる映像が流れていると言われたとき:「気づかず失礼しました。すぐに切り替えます」とその場で対応し、後で流す時間帯のルールを見直す
電源を入れる人・切る人を決める
朝いちばんにテレビをつける担当、昼休みと終業後に切る担当を決めておきます。院内案内やDVDを流す場合は、正しい内容が流れているかを朝のうちに確認する習慣をつけると、古いお知らせや操作画面が映りっぱなしになる失敗を防げます。
待合室モニターの設置位置と画面サイズの考え方
同じ内容を流していても、置き場所と大きさが合っていないと、待合室のモニターは見られないまま終わります。反対に、置き場所がよくないと、画面の前に人が集まって動線をふさいだり、子どもが触ってしまったりすることもあります。
設置位置で確かめたいこと
| 確かめる点 | 見るポイント |
|---|---|
| 座席からの見え方 | 多くの席から無理なく画面が見えるか。首を大きくひねらないと見えない席がないか |
| 動線 | 画面の前に人が集まったとき、受付・トイレ・診療室への通り道をふさがないか |
| 映り込み | 窓や照明が画面に映り込んで見えにくくならないか。時間帯で日差しの入り方が変わらないか |
| 子どもの安全 | 子どもの手が届く高さか。スタンド置きなら転倒しない固定ができるか。ケーブルに足を引っかけないか |
| 受付からの見え方 | 受付から画面の様子が見えるか。不適切な映像やエラー画面にすぐ気づけるか |
壁掛けにする場合は、壁の構造や強度によって取り付けられるかどうかが変わります。工事を伴う場合は、建物の管理者や施工業者に相談して進めてください。
画面サイズは「いちばん遠い席」で確かめる
画面サイズは、待合室の広さと、いちばん遠い席からの距離で考えます。大きければよいというわけではなく、狭い待合室で画面が大きすぎると圧迫感が出ることもあります。院内案内を流すなら、いちばん遠い席から文字が読めるかが目安になります。購入前に、ノートパソコンやタブレットで実際の文字の大きさのスライドを表示し、席に座って見え方を確かめるだけでも、選び方の失敗を減らせます。
また、流すコンテンツによっては、モニターの解像度やサイズに条件がある場合があります。今あるテレビを使うつもりなら、導入前にその条件を満たしているかを確認しておきましょう。

テレビ1台を参加型にする|アートパークという選択肢
当社の「アートパーク」は、待合室のテレビ1台で、お子さんが親御さんのスマートフォンで描いた魚などの絵が、大画面の水槽「すいぞくかん」を泳ぎだすサービスです。アプリのインストールや会員登録は不要で、お子さんの氏名・顔写真・生年月日は取得しません。共有のおもちゃやタッチパネルを置かないため、消毒や片づけの手間もかかりません。作品は5分ほど(最長10分)で画面から退場し、日をまたいで残ることはありません。その時間に居合わせた子どうしの絵が一緒に泳ぐ仕組みです。
使えるモニターには条件があり、フルHD以上・43型以上が必要です。壁掛けなら床面積0、スタンド置きでも1畳未満で設置できます(壁への取り付けは医院さまでのご手配となります)。申込から設置まではおよそ2週間、現地での設置作業は10分程度です。地上波や院内案内と時間帯で使い分けるなど、貴院の待合室に合う使い方は、実際の画面をご覧いただきながらご相談ください。
よくある失敗と、見直しチェックリスト
最後に、待合室のテレビでありがちな失敗と、運用を見直すためのチェックリストをまとめます。
よくある失敗
- つけっぱなしで誰も内容を見ていない:不安をあおる報道や子どもに見せたくない場面が流れても、スタッフが気づかない
- 音量が人によって違う:スタッフごとに音量を変え、呼び出しが聞こえない時間帯が生まれる
- 院内案内が古いまま:終わったキャンペーンや過ぎた休診日のお知らせが流れ続ける
- 個人のアカウントで動画を流している:規約の確認をしていないうえ、個人の視聴履歴が画面に出てしまう
- 画面の前が子どもの集まり場所になる:通路がふさがり、画面に触れたり、ほかの子とぶつかったりする
- 買ってから見えにくさに気づく:窓の映り込みや座席からの角度を確かめずに設置してしまう
待ち時間そのものを短くする工夫と組み合わせると、テレビに頼りすぎない待合室になります。運用面の考え方は「歯科・小児科の待ち時間対策」もあわせてご覧ください。
- 待合室のテレビに期待する役割(待ち時間・お知らせ・子ども・雰囲気)の優先順位を決めている
- 時間帯ごとの患者さんの顔ぶれを把握し、流すものを決めている
- 地上波を流す場合、不安をあおる映像が流れたときの切り替えルールがある
- 院内案内は1枚に情報を1つに絞り、音なしでも伝わる形になっている
- 院内案内の更新担当と更新のタイミングが決まっている
- 動画配信サービスを使う場合、利用規約で業務利用の可否を確認している
- DVD・音楽・院内案内の素材について、利用条件を確認している
- 院内案内の表現を医療広告ガイドラインに照らして確認している
- 呼び出しが聞こえる音量の上限を決め、受付に掲示している
- リモコンの管理方法と、チャンネル変更を頼まれたときの答え方をそろえている
- 電源を入れる・切る担当と、朝の表示確認の習慣がある
- いちばん遠い席から画面と文字が見えることを確かめている
- 窓や照明の映り込み、動線、子どもの安全(転倒・ケーブル)を確認している
- 使いたいコンテンツのモニター条件(解像度・サイズ)を確認している
まとめ
待合室のテレビは、何を流すかの前に「何のために置くか」を決めることが出発点です。地上波・院内案内・動画配信サービス・DVD・参加型コンテンツにはそれぞれ向き・不向きがあり、病院・クリニックの患者さんの顔ぶれや時間帯に合わせて選ぶのが現実的です。動画配信サービスやDVD、音楽を流す場合は、個人向けプランの業務利用などについて各サービスの規約や権利者、専門家に確認してから使いましょう。そのうえで、呼び出しが聞こえる音量の上限、リモコンと電源の担当、設置位置と画面サイズを決めておけば、待合室のテレビは「とりあえず置いてある設備」から、患者さんが過ごしやすい待合室の一部に変わっていきます。