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待合室づくり

耳鼻科の待合室づくり|子ども連れ・季節の混雑・処置待ち・感染対策・泣き声に配慮する運用と声かけ例

公開  | アートパーク編集部(株式会社NEVER)

明るいクリニックの待合室。ベンチが並び、壁にテレビの画面がかかっている

※写真はイメージです。

耳鼻科の待合室は、ほかの診療科と比べても条件が重なりやすい場所です。子ども連れの来院が多く、季節によって患者さんの数が大きく変わり、診察のあとに吸入などの処置を待つ時間もあります。発熱やせきのある方とそうでない方が同じ空間にいることもあり、子どもの泣き声や機器の音も響きます。この記事では、耳鼻咽喉科の待合室づくりを「5つの事情」に分けて整理し、混雑期の運用、感染症に配慮した動線、処置待ちの扱い方、子どもの待ち時間の過ごし方、そしてスタッフがそのまま使える声かけ例とチェックリストをまとめました。院長・事務長の方に向けた内容です。

耳鼻科の待合室が難しい5つの事情

耳鼻科の待合室で起きる不満や混乱は、たいてい「混んでいるから」の一言で片づけられがちです。けれども実際には、いくつかの事情が重なって起きています。事情ごとに打つ手が違うので、まずは分けて考えることが改善の出発点になります。

事情待合室で起きやすいこと主に効く対策
子ども連れが多い子どもが退屈して動き回る、泣く。保護者が周りに気をつかって疲れる子どもが座って過ごせる工夫、保護者が離れずに済む配置
季節で混むふだんは回る運用が、混む時期だけ破綻する。待ち時間が読めない混雑期だけの運用を前もって決めておく、待ち状況の見える化
処置待ちがある診察が終わってもまだ待つ「二度待ち」。どれくらい待つか分からない不安処置の流れの説明、処置待ちの席と順番の分け方
感染症の方が来る発熱やせきのある方とそうでない方が隣り合う。周りの視線が気になる受付時点での振り分け、場所と時間の分離
泣き声と音診察室・処置室の泣き声や機器の音が待合室に届き、待っている子が怖がる音の伝わり方の見直し、待合室の「気をそらすもの」

貴院の待合室で、どの事情がいちばん困りごとになっているかを、受付スタッフと看護スタッフで話し合ってみてください。受付は「待ち時間の問い合わせ」、看護スタッフは「処置室前の混雑」、院長は「診察室まで聞こえる泣き声」と、立場によって見えている問題が違うことがよくあります。全員の困りごとを書き出してから優先順位を決めると、ちぐはぐな対策になりにくくなります。

「混む時期」と「ふだん」を分けて考える

耳鼻科の待合室づくりで見落とされやすいのが、混雑期とふだんの差です。ふだんの待合室を基準に席や掲示を決めると、混む時期には席が足りず、案内も追いつきません。反対に、混む時期に合わせて席を詰め込むと、ふだんは窮屈なだけの待合室になります。以降の節では、「いつでも効く工夫」と「混雑期だけ切り替える運用」を分けて紹介します。

季節の混雑に備える|混む前に決めておく運用

耳鼻科が混む時期は、花粉の飛ぶ季節やかぜ・感染症がはやる季節など、地域や年によって変わります。一般論で考えるより、貴院の過去の受付数や予約数を月ごと・曜日ごと・時間帯ごとに並べてみるのが確実です。「毎年この時期の土曜午前は受付を早めに締めている」といった傾向が見えれば、それが混雑期の運用を決める材料になります。

混雑期の「切り替えスイッチ」を決める

混雑への対応が遅れる原因の一つは、「いつから混雑期の運用にするか」が決まっていないことです。受付の判断に任せると、気づいたときには待合室があふれています。次のような目安を院内で決めておくと、迷わず切り替えられます。

数字の目安は医院の広さや人員によって違うため、他院の数字を借りるより、貴院で一度試して調整していくのが現実的です。

混雑期に切り替える運用の例

項目ふだん混雑期の切り替え例
受付の案内口頭で順番を伝える待ち状況を掲示やWebで見せ、外出・車内での待機も案内する
問診受付後に記入Web問診や事前記入を案内し、来院後の記入時間を減らす
座席自由に座る症状や処置の有無で座る場所を分ける(次節)
処置診察後に順に案内処置待ちの順番を診察の順番とは別に管理する
スタッフ受付は受付業務に専念待合室に声をかける担当を時間帯で決める
ポイント

混雑期の運用は、混む時期に入ってから考えると間に合いません。混雑期が終わった直後に「今年困ったこと」をスタッフから集め、翌年の運用表を更新しておくと、毎年少しずつ楽になります。運用表はA4一枚にまとめ、受付と処置室の両方に置いておきましょう。

「待てる場所」を待合室の外に広げる

混雑期に待合室だけで全員を受け止めるのは難しいものです。順番待ちの仕組みや呼び出しの連絡手段を使えば、車の中や近くで待ってもらうこともできます。とくに子ども連れの保護者にとっては、混んだ待合室で子どもをじっとさせておくより、車内で待てる方が気持ちが楽な場合があります。外で待つ方への呼び出しの方法と、戻ってこなかった場合の扱いは、あらかじめ決めて案内しておきます。待ち時間を短くする全体の考え方は「歯科・小児科の待ち時間対策」でも整理しています。

感染症に配慮した動線分離と座席の考え方

耳鼻科には、発熱やせき、のどの痛みなどで来院する方と、花粉症や耳の症状、経過観察などで来院する方が同じ時間帯にいます。待合室を分けられる構造でなくても、受付の段階での振り分けと、場所・時間の工夫でできることはあります。

受付の手前で振り分ける

動線分離は、待合室に入ってからでは遅くなりがちです。入口の掲示やWeb予約・電話の段階で「発熱やせきのある方は、入る前にお知らせください」と伝え、該当する方を別の場所や別の時間帯に案内できるようにしておきます。掲示は子ども連れの保護者がすぐ読めるよう、短い文と大きな文字にします。

場所で分ける・時間で分ける

方法具体例気をつけたいこと
場所で分ける別室や仕切りのある一角を用意する。車内待機をお願いする別室に案内された方が「隔離された」と感じないよう、理由を丁寧に伝える
時間で分ける発熱の方の診療時間帯を設ける。予約枠を分ける時間外に来院された方への対応を決めておく
座席で分ける座る場所の目安を掲示する。席の間隔をあける混雑期に守られなくなりやすい。スタッフの声かけとセットにする
注意

小児科の待合室での動線や感染対策は「小児科の待合室づくり」でも詳しく扱っています。子どもの患者さんが多い耳鼻科では、考え方の多くがそのまま使えます。

処置待ち(吸入など)の「二度待ち」を短く感じさせる工夫

耳鼻科では、診察のあとに吸入や処置を受けることがあります。患者さんから見ると「診察を待って、さらに処置を待つ」二度待ちになり、待ち時間の不満が大きくなりやすい場面です。処置の内容や必要性は医師が判断するものですが、待っている間の不安や退屈は、待合室側の工夫で小さくできます。

流れを先に伝える

人は、終わりの見えない待ち時間を長く感じます。診察の最後に「このあと吸入をして、それが終わったらお会計です」と流れを伝えるだけで、患者さんは今どこにいるのかが分かり、落ち着いて待てるようになります。初めて来院した方や子ども連れの方には、受付や問診の段階で「診察のあとに処置がある場合があります」と伝えておくと、時間の見通しが立てやすくなります。

処置待ちの順番と席を分ける

子どもの処置待ちは「保護者の手が空かない時間」

子どもが処置を受けるとき、保護者はきょうだいを連れていることも少なくありません。処置室に一緒に入る場合、残されたきょうだいをどうするかが保護者の悩みになります。処置室のすぐ外に、保護者から見える位置で子どもが座って待てる場所があると安心です。スタッフが「お兄ちゃんはここで待っていてね」と声をかけられる位置かどうかも、配置を決めるときの目安になります。

子ども連れへの配慮|泣き声・音・耳鼻科のキッズスペース

耳鼻科の待合室で子どもの待ち時間が問題になるのは、ただ退屈だからだけではありません。診察室や処置室から聞こえる泣き声や機器の音が、これから呼ばれる子どもの不安を大きくすることがあります。音そのものを減らす工夫と、子どもの気持ちをほかに向ける工夫の両方を考えます。

音の伝わり方を見直す

泣き声が聞こえること自体は避けられませんが、出てきた子が笑顔で帰る姿が見えると、待っている子と保護者の不安は和らぎます。

耳鼻科のキッズスペースは「動き回らない」ものを

キッズスペースというと、おもちゃや遊具を置く場所を思い浮かべがちです。けれども耳鼻科では、感染症の流行期に共有のおもちゃを置くことへの不安や、混雑期に子どもが走り回る危なさもあります。耳鼻科のキッズスペースは「体を動かして遊ぶ場所」より「座ったまま気がまぎれる場所」として考える方が、運用しやすい場合が多いでしょう。

過ごし方よいところ気をつけたいこと
共有のおもちゃ・絵本手軽に始められる消毒と片づけの手間。流行期は撤去が必要になることも
テレビで映像を流す多くの子が座って見ていられる音量の調整。流す内容の利用条件の確認
保護者のスマートフォン医院の準備がいらない保護者まかせになり、医院としての体験にはなりにくい
塗り絵・紙の配布物持ち帰れて共有しない配布と補充の手間。机や筆記具の用意

おもちゃを置かずにキッズスペースをつくる考え方は「歯科・小児科のキッズスペース」で詳しく紹介しています。

待合室のベンチで、母親のスマートフォンを子どもと一緒にのぞき込み、魚の絵に色をぬっている様子
座ったまま、保護者のそばで過ごせることが耳鼻科の待合室では大切です。※写真はイメージです。

座ったまま、親子で過ごせる待ち時間に|アートパークという選択肢

当社の「アートパーク」は、待合室のテレビ1台で、お子さんが親御さんのスマートフォンで描いた魚などの絵が、大画面の水槽「すいぞくかん」を泳ぎだすサービスです。アプリのインストールや会員登録は不要で、お子さんの氏名・顔写真・生年月日は取得しません。共有のおもちゃやタッチパネルを置かないため、消毒や片づけの手間はかかりません。お子さんは保護者の隣に座ったまま描けるので、処置待ちや混雑期でも動き回らずに過ごしやすくなります。作品は5分ほど(最長10分)で画面から退場し、日をまたいで残ることはありません。その時間に居合わせた子どうしの絵が一緒に泳ぐので、泣き声が聞こえる場面でも、画面に目を向けるきっかけの一つになりうると考えています。設置は壁掛けなら床面積を使わず、モニターはフルHD以上・43型以上が条件です(壁への取り付けは医院さまでのご手配となります)。

混雑期の声かけ例と、よくある失敗・チェックリスト

待合室の印象は、設備よりもスタッフの一言で決まることがあります。混雑期は余裕がなくなり、言葉が短く、冷たく聞こえがちです。あらかじめ言い方を決めておくと、忙しいときでも同じ質の案内ができます。

場面別の声かけ例

場面声かけの例
受付で待ち時間を聞かれた「今、前に○人お待ちです。混み合っていて申し訳ありません。お車でお待ちいただくこともできますので、そのときはお声がけください」
発熱の方を別の場所へ案内する「ほかの方と少し離れた場所でお待ちいただいています。こちらの方が落ち着いてお待ちいただけると思いますので、ご案内しますね」
診察後に処置がある「このあと吸入をしてから、お会計になります。吸入のお部屋が空いたらお呼びしますので、こちらの席でお待ちください」
子どもがぐずっている「お待たせしていてごめんね。あと少しで順番だよ」(保護者には)「気になさらなくて大丈夫ですよ」
泣きながら処置室から出てきた子「最後までよくがんばったね。お母さんのところに戻ろうね」
長く待たせてしまった「長くお待たせしてしまい、申し訳ありませんでした。お待ちいただきありがとうございます」

保護者は、子どもが泣いたりぐずったりすると、周りに迷惑をかけていないかを強く気にします。「大丈夫ですよ」という一言は、それだけで保護者の肩の力を抜く効果があります。

よくある失敗

注意
チェックリスト

まとめ

耳鼻科の待合室づくりは、「子ども連れが多い」「季節で混む」「処置待ちがある」「感染症の方が来る」「泣き声と音」という5つの事情に分けて考えると、打つ手が見えてきます。混雑期の運用は混む前に決めておき、切り替えの目安と運用表をスタッフで共有します。感染症への配慮は受付の手前での振り分けから始め、場所・時間・座席の分け方を決めます。処置待ちは流れを先に伝えることで不安を減らし、子どもには座ったまま保護者のそばで過ごせる環境を用意します。そして、忙しいときこそ決めておいた声かけで、患者さんと保護者を安心させましょう。耳鼻咽喉科の待合室は、毎年の振り返りで少しずつ良くしていける場所です。

アートパーク編集部(株式会社NEVER)
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