歯科の内覧会の準備ガイド|開院から逆算する告知・当日の動線・説明役の分担・子ども連れ対応・予約受付
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開院前の歯科の内覧会は、地域の方に初めて医院の中を見てもらえる貴重な機会です。一方で、開業準備の終盤は工事の引き渡し、機器の搬入、スタッフ研修、各種届出が重なる時期でもあり、内覧会の準備は後回しになりがちです。その結果、「告知が遅れて来場が少なかった」「当日、説明できる人が足りず入口が詰まった」「予約を受けたいのに、受付の方法が決まっていなかった」といったことが起こります。この記事では、歯科の内覧会を開院日から逆算して準備する方法を、目的の決め方、告知、当日の動線、説明役の分担、子ども連れへの対応、予約受付の順に整理しました。院長・事務長の方が、そのまま準備表に落とし込める形でまとめています。
歯科の内覧会は何のために開くのか|目的と「当日の姿」を先に決める
歯科の内覧会の準備を始めるとき、最初に決めたいのは「誰に来てもらい、帰るときにどうなっていてほしいか」です。目的があいまいなまま準備を進めると、告知の文面も、当日の展示も、配るものも、すべてが「とりあえず」になり、準備の手間のわりに手応えのない一日になってしまいます。
目的は2〜3個に絞る
内覧会の目的として考えられるものを並べると、次のようになります。全部を追いかけるのではなく、貴院にとって優先したいものを2〜3個選びます。
- 医院を知ってもらう:場所・診療科目・診療時間を地域に覚えてもらう
- 雰囲気を見てもらう:清潔感、明るさ、スタッフの人柄を実際に感じてもらう
- 不安を減らす:「痛くないか」「子どもを連れて行けるか」「待ち時間はどうか」に答える
- 初診の予約につなげる:開院後の予約をその場で受け付ける
- 地域とのつながりをつくる:近隣の住民・店舗・園や学校の関係者にあいさつする
たとえば子育て世代の多い地域なら、「雰囲気を見てもらう」「子どもを連れて行けると感じてもらう」「初診予約につなげる」の3つに絞る、といった決め方です。
「帰るときの来場者の姿」を一文で書く
来場者が帰るときにどうなっていてほしいかを、「子どもを連れて来ても大丈夫そうだと感じ、検診の予約を入れて帰る」のように一文で書き、スタッフ全員で共有します。当日に迷ったときの判断基準になります。
目的と「帰るときの姿」は、準備表の一番上に書いておきましょう。告知物の文面、当日の配布物、説明の台本を見直すときに、「これはその姿につながっているか」で取捨選択できます。
開院日から逆算する内覧会の準備スケジュール
歯科の開院に向けた内覧会準備は、工事や機器の搬入、届出など開業準備の他の作業と並行して進みます。内覧会の日程は「建物の引き渡しと主要な機器の設置が終わっていること」が前提になるため、施工会社や機器の納入業者と、引き渡し日・設置日を早めにすり合わせてから決めます。開業準備全体の流れは歯科開業の準備の流れでも整理しています。
逆算の準備表(目安)
次の表は、作業の順番をつかむための目安です。実際の時期は、工事の進み具合や告知手段の締め切り(印刷や配布の手配に必要な期間など)に合わせて、各業者に確認しながら調整してください。
| 時期の目安 | やること | 主な担当 |
|---|---|---|
| 早い段階 | 内覧会の目的と日程の仮決め。引き渡し日・機器設置日を業者と確認。予約受付の方法(電話・Web・LINEなど)を決める | 院長・事務長 |
| 告知の準備期間 | 告知物(チラシ・ホームページ・SNS・看板)の文面と配布方法を決める。表現を医療広告ガイドラインに照らして確認する | 事務長・制作会社 |
| 告知の開始 | チラシの配布、ホームページ・地図サービスへの掲載、院前の看板やポスターの掲示 | 事務長 |
| 引き渡し後 | 院内の見学ルートを決め、案内表示を作る。説明役の割り振りと台本づくり。予約受付の練習 | 院長・全スタッフ |
| 前日まで | 通しのリハーサル。配布物・筆記具・予約表の準備。駐車場と近隣への配慮の確認 | 全スタッフ |
| 当日 | 受付・案内・説明・予約受付。来場数と質問をその場で記録 | 全スタッフ |
| 終了後すぐ | 振り返り、予約者への確認連絡、開院日までの案内の継続 | 事務長・受付 |
日程と時間帯の決め方
日程は、来てほしい人が動ける曜日・時間帯から考えます。子育て世代なら週末や園・学校が終わった後、近隣の高齢の方なら平日の日中、というように狙う来場者によって変わります。
時間帯は来場が集中しないよう幅を持たせつつ、スタッフが交代で休憩を取れる、無理のない長さにします。
内覧会の告知|何を・どこで・いつ伝えるか
内覧会の告知は、「いつ・どこで・何が見られるか」を、来てほしい人に、来場を決められるタイミングで届けることが基本です。特長を並べるより、情報を絞る方が伝わります。
告知に必ず入れる情報
- 内覧会の日時(複数日の場合はすべて)と所要時間の目安
- 場所(住所・目印・駐車場の有無と台数・公共交通での行き方)
- 見られるもの(待合室・診療室・キッズスペースなど)
- 予約の要否(予約不要・自由見学なのか、時間枠予約制なのか)
- 子ども連れ・ベビーカーで来られるか
- 開院日と、開院後の予約の取り方
告知手段の使い分け
| 手段 | 届きやすい相手 | 準備で気をつけたいこと |
|---|---|---|
| チラシ(ポスティング・新聞折込) | 医院の近隣に住む方。年配の方や、ネットで医院を探さない方 | 配布エリアと部数、配布日の手配に時間がかかる。地図と日時を大きく |
| 院前の看板・ポスター | 前を通る近隣の方 | 工事中から掲示できるか施工会社に確認。歩きながらでも読める文字量に |
| ホームページ | 「地名+歯科」で検索する方 | 開院前から内覧会のお知らせを目立つ位置に。予約方法へのリンクを置く |
| 地図サービスのビジネス情報 | 地図アプリで近くの歯科を探す方 | 開業日や営業時間の登録方法は各サービスの案内を確認する |
| SNS・公式LINE | 子育て世代など日常的に使う方 | 開院前から準備の様子を発信すると、内覧会の告知にもつなげやすい |
| 近隣へのあいさつ | 隣近所、近くの店舗、自治会など | 工事のおわびと合わせて、案内状を手渡しすると覚えてもらいやすい |
SNSでの発信の考え方は歯科医院のSNS運用も参考にしてください。
粗品・特典の表現は、一次資料で確認してから
内覧会では、来場の記念品を用意したり、来場者向けの案内を考えたりする医院もあります。ただ、医院の告知物は医療に関する広告として扱われる可能性があり、表現には決まりがあります。特に、費用を強調する表現や、来場・受診を物品や特典で誘うと受け取られる表現は、慎重に判断が必要です。
- チラシ・ホームページ・SNSの文面や、記念品・特典の扱いは、厚生労働省の「医療広告ガイドライン」や関連するQ&Aなどの一次資料で確認してください。景品類の扱いについては、消費者庁が所管する景品表示法の考え方も関係する場合があります。
- 判断に迷う表現は、医院所在地の保健所や、医療広告に詳しい専門家に相談してから使いましょう。制作会社の「よくある文面」をそのまま使うことは避けます。
- 開設前の院内で、検診や相談など診療行為にあたることを行う場合の扱いは、所管の保健所に事前に確認しておきましょう。
医療広告の基本的な考え方は医療広告ガイドラインと歯科の発信で整理しています。
内覧会当日の動線と、説明役の分担
当日の満足度を左右するのが、来場者が院内をどう回るか(動線)と、誰が何を説明するか(役割分担)です。ここが決まっていないと、入口に人がたまる、予約受付に人がいない、といった状態になりがちです。
内覧会当日の動線は「一方通行」で考える
院内の見学ルートは、できるだけ入口から出口まで一方向に流れるように組みます。歯科医院は廊下や診療室の間口が狭いことも多いため、行きと帰りの人がすれ違わない順番にしておくと、混雑と事故を防げます。
- 受付:あいさつ、来場の記録(任意)、院内マップと配布物を渡す
- 待合室・キッズスペース:待ち時間の過ごし方、子ども連れの配慮を見てもらう
- 診療室:ユニットに座ってみる体験、器具や設備の説明
- カウンセリングスペース・個室:説明の仕方やプライバシーへの配慮
- 滅菌・衛生管理の説明コーナー:器具の洗浄・滅菌の流れを見せられる範囲で
- 予約・質問コーナー:出口の手前に置き、最後に必ず通る位置にする
立入禁止の場所(レントゲン室・機械室・スタッフルームなど)には表示や区切りを付け、段差やベビーカーで通りにくい場所はリハーサルで確認します。
説明役の分担表をつくる
| 持ち場 | 主な役割 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 入口・受付 | あいさつ、マップと配布物の手渡し、混雑時の案内 | 受付スタッフ |
| 待合室 | 待合室・キッズスペースの説明、子ども連れのご家族への声かけ | 受付スタッフ・歯科助手 |
| 診療室 | ユニット体験の案内、設備の説明、治療に関する質問への対応 | 院長・歯科衛生士 |
| 衛生管理の説明 | 滅菌・清掃の流れの説明 | 歯科助手・歯科衛生士 |
| 予約・質問コーナー | 初診予約の受付、診療時間や駐車場などの質問 | 事務長・受付スタッフ |
| 全体の見回り(遊撃) | 混雑した持ち場の応援、迷った来場者の案内、休憩の交代 | 院長または事務長 |
院長は診療室にとどまりがちですが、時間を決めて院内を回り、待合室や予約コーナーでもあいさつできるようにしておくと、医院の雰囲気がより伝わります。
説明の台本と声かけ例
持ち場ごとに「必ず伝えること」を3つ程度に絞って台本にしておくと、来場者が受け取る印象がそろいます。
- 入口:「ご来場ありがとうございます。院内はこの順番でご覧いただけます。最後に、ご質問やご予約の受付コーナーがあります」
- 待合室:「お子さん連れの方も多いので、待ち時間を過ごしやすいようにしています。ベビーカーはこちらに置いていただけます」
- 診療室:「よろしければ座ってみてください。治療中に気になることがあれば、手を挙げていただければ止めるようにしています」
- 予約コーナー:「開院後のご予約をこちらで承っています。ご家族でまとめてのご予約もできます」
治療方針や費用の個別の見立てなど答えに迷う質問は、断定せず「開院後に診察したうえでご説明します」と伝える決まりにします。
子ども連れの来場者への対応
歯科の内覧会には、子どもを連れたご家族も多く訪れます。保護者が落ち着いて説明を聞けるかどうかは、子どもがその間をどう過ごせるかに大きく左右されます。また、子どもが「ここは楽しい場所だ」と感じて帰れば、開院後の来院の心理的なハードルも下がります。
当日に準備しておきたいこと
- ベビーカーの置き場所と、通路の広さの確認
- おむつ替え・授乳ができる場所(設けている場合)の案内表示
- 子どもが待合室で過ごせる工夫と、それを見守るスタッフの配置
- 診療室での「座ってみる」「ライトを見てみる」など、怖くない体験の用意
- 迷子になったときの声かけと、保護者への連絡方法の取り決め
子どもへの声かけは、器具の名前を怖くない言葉に言い換える、できたことを具体的にほめる、など診療室での対応と同じ考え方が使えます。くわしくは小児歯科の開業・打ち出しの準備も参考にしてください。
キッズスペースのおもちゃを多めに出すと、来場者の多い一日は片づけと消毒の手間も大きくなります。開院後も続けられる形で用意しておきましょう。

待合室のテレビで「描いて楽しむ」体験を|アートパークという選択肢
当社の「アートパーク」は、待合室のテレビ1台で、お子さんが親御さんのスマートフォンで描いた魚などの絵が、大画面の水槽「すいぞくかん」を泳ぎだすサービスです。アプリのインストールや会員登録は不要で、お子さんの氏名・顔写真・生年月日は取得しません。共有のおもちゃやタッチパネルを置かないため、来場者の多い内覧会の日でも消毒や片づけの手間が増えません。
作品は5分ほど(最長10分)で画面から退場し、日をまたいで残ることはありません。その時間に居合わせた子どうしの絵が一緒に泳ぐため、内覧会の待合室で、初めて会った子どもたちが同じ画面を見上げる場面も生まれます。お絵かき画面には予約フォームや公式LINEへの案内を1回だけ表示できるので(全員に同じ案内が表示されます)、開院後の予約の取り方を知ってもらうきっかけの一つとして使うこともできます。申込から設置までは約2週間が目安のため、内覧会に合わせる場合は早めにご相談ください。
予約受付の段取りと、終わった後の振り返り
内覧会の目的に「初診の予約につなげる」を入れているなら、予約受付の段取りは当日より前に決めておく必要があります。当日になって受付方法を考え始めると、来場者を待たせたり、記録が残らなかったりします。
予約受付で決めておくこと
- 受付の方法:その場で予約表に記入するのか、予約システムに入力するのか、後日Webや電話で取ってもらうのか
- 受け付ける期間:開院日から何日分の枠を内覧会で受けるか。開院直後に予約を詰め込みすぎない配慮も必要
- 聞く項目:氏名・連絡先・希望日時・主な相談内容など、予約に必要な最小限に絞る
- 確認の連絡:いつ、どの手段で予約確認の連絡をするか
- 開院日の確定前の扱い:保険診療の開始日などの手続きの見通しを確認し、確実に案内できる日程だけを受け付ける
- 来場者アンケートや予約で個人情報を受け取る場合は、利用目的を伝えたうえで受け取り、保管方法を決めておきましょう。取り扱いは個人情報保護委員会の資料など一次資料を確認し、院内の規程に沿って運用してください。
- 記入済みの予約表やアンケートを、来場者の目に触れる場所に置いたままにしないようにします。
よくある失敗と、その防ぎ方
| よくある失敗 | 起こる理由 | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 告知が遅れて来場が少ない | 工事の遅れで日程が確定せず、告知の手配が後回しになった | 引き渡し日を早めに確認し、余裕を持った日程で仮決めする |
| 入口が混雑する | 受付で記入をお願いする項目が多い。見学ルートが決まっていない | 受付での記入は任意・最小限に。一方通行のルートを決めておく |
| 説明がばらばら | 台本がなく、スタッフごとに説明の中身が違う | 持ち場ごとに「必ず伝えること」を決め、リハーサルで練習する |
| 予約の取りこぼし | 予約コーナーが目立たない、担当が不在になる時間がある | 予約コーナーを出口の手前に置き、休憩は交代制にする |
終わった後の振り返り
終了後は記憶が新しいうちに、来場数、予約数、多かった質問、混雑した場所を全員で書き出します。「多かった質問」は、ホームページや院内掲示の見直しにそのまま使えます。予約者への確認連絡も忘れずに行います。
- 内覧会の目的を2〜3個に絞り、「帰るときの来場者の姿」を一文で共有している
- 引き渡し日・機器設置日を業者と確認したうえで日程を決めている
- 狙う来場者に合わせて曜日・時間帯を選んでいる
- 告知に日時・場所・駐車場・予約の要否・子ども連れの可否・開院日を入れている
- 告知物の表現や記念品・特典の扱いを、医療広告ガイドラインなど一次資料で確認している
- 開設前に院内で行う内容について、必要に応じて保健所に確認している
- 見学ルートを一方通行で決め、立入禁止の場所に表示をしている
- 持ち場ごとの説明役と、全体の見回り役を決めている
- 持ち場ごとに「必ず伝えること」の台本をつくり、リハーサルをしている
- 答えに迷う質問は断定せず、開院後の診察で説明する決まりにしている
- ベビーカーの置き場所と、子どもが過ごせる場所・見守り役を決めている
- 予約の受付方法・受付期間・聞く項目・確認連絡の方法を決めている
- 個人情報の利用目的を伝え、記入済みの用紙の保管方法を決めている
- 当日の来場数と質問を記録し、終了後すぐに振り返る時間を取っている
まとめ
歯科の内覧会は、開院前に地域の方へ医院の中を見てもらえる大切な機会です。準備はまず、目的を絞り「帰るときの来場者の姿」を決めることから始めます。そのうえで、引き渡し日を起点に開院日から逆算して告知と準備を進め、当日は一方通行の動線と持ち場ごとの説明役の分担で、混雑と説明のばらつきを防ぎます。子ども連れのご家族が安心して過ごせる待合室を用意し、予約受付の段取りは前もって決めておきましょう。粗品や特典を含む告知の表現は、医療広告ガイドラインなどの一次資料で必ず確認してください。