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歯科の院内新聞・医院だよりの作り方|目的の決め方、年間ネタ表、紙面の型、締切と配り方、医療広告ガイドラインの注意点

公開  | アートパーク編集部(株式会社NEVER)

夕方の明かりがともる歯科医院の受付と待合室。壁の大きなテレビに海の中の画面が映っている

※写真はイメージです。

歯科の院内新聞は、医院の考え方やスタッフの人柄、予防や通院の情報を、患者さんに紙一枚で届けられる道具です。一方で「創刊号は出したけれど、3号目で止まってしまった」「誰に何を伝えたいのか分からないまま作っている」という声もよく聞きます。この記事では、院内新聞(ニュースレター・院内報・医院だより)を無理なく続けるために、目的と読者の決め方、12か月のネタ表、A4一枚の紙面の型、作る人と締切、配り方、そして医療広告ガイドラインの観点で気をつけたい表現までを、院長・事務長の方向けにまとめました。院内新聞は効果を約束できるものではありませんが、続けるための段取りは今日から整えられます。

歯科の院内新聞は「誰に・何のために」から決める

院内新聞づくりが止まる一番の理由は、手間そのものよりも「何を書けばいいか毎回迷う」ことです。迷いの多くは、目的と読者が決まっていないところから生まれます。最初の号を作る前に、院長と事務長、編集を担当するスタッフで、次の2点を短く言葉にしておきましょう。

目的は一つか二つに絞る

院内新聞に期待したいことはたくさんありますが、全部を一枚に載せようとすると、何を伝えたい紙なのかがぼやけます。貴院がいま一番伝えたいことを一つか二つに絞り、それに合う記事を中心に組み立てます。

目的の例中心になる記事向いている医院
定期検診の大切さを伝えたい検診で何をするのか、季節ごとの口のケア、歯科衛生士のひとこと治療が終わると来なくなる方が多いと感じている医院
医院の考え方や人柄を知ってもらいたい院長のあいさつ、スタッフ紹介、医院で大事にしていること開業して間もない医院、スタッフが入れ替わった医院
院内の変更を確実に伝えたい診療時間・休診日の変更、予約方法の案内、駐車場や設備のお知らせ電話での問い合わせや行き違いが多い医院
子育て世代に通いやすさを伝えたい子どもの歯みがきのコツ、親子での受診の流れ、待合室の過ごし方小児の患者さんや家族での受診が多い医院

目的を決めたら、毎号の紙面の半分以上をその目的に関わる記事にする、という程度のゆるい決まりにしておくと、ネタを選ぶときの判断が速くなります。

読者を一人に決めて、その人に話しかける

「患者さん全員」に向けて書くと、文章が当たり障りのないものになりがちです。たとえば「小学生の子どもと一緒に通っている30代の保護者」「定期検診に来ている60代の方」のように、読む人を一人思い浮かべて書くと、言葉の選び方や文字の大きさが自然に決まります。貴院の待合室にいる方の顔ぶれを受付で思い出してもらうと、読者像はすぐに描けます。

ニュースレター・院内報・医院だより、呼び方で中身を変える必要はない

歯科のニュースレター、院内報、医院だよりと呼び方はいろいろありますが、中身に決まった違いはありません。親しみやすい名前を一つ決め、毎号同じ見た目で、号数と発行月を入れて出しましょう。

12か月のネタ表をつくって、ネタ切れを防ぐ

院内新聞を続けている医院の多くは、毎号ゼロからネタを考えていません。年の初めに一年分のテーマを表にしておき、その月が来たら表を見て書く、という形にしています。季節の行事や学校の予定、医院の年間行事に合わせると、患者さんにとっても読む理由が生まれます。

月ごとのネタ表の例

月季節・暮らしのテーマ口の健康のテーマ医院からのお知らせの例
1月新年のあいさつ一年の定期検診の予定を立てる年始の診療日
2月寒さと乾燥口の乾きと水分のとり方春休みの予約の案内
3月卒業・進学新生活前の歯の確認4月からの変更点
4月新学期学校の歯科健診のあとの受診新しいスタッフの紹介
5月連休旅行中の歯みがきの工夫連休中の診療日
6月梅雨歯と口の健康週間にちなんだ話題院内の取り組みの紹介
7月夏休み前冷たい飲み物と歯の関係夏休みの予約の案内
8月夏休み子どもの仕上げみがきお盆の診療日
9月敬老の日入れ歯や口の体操の話秋の検診の案内
10月運動会・行事スポーツと歯のけが予約方法の見直し
11月いい歯の日にちなんだ話題歯ぐきのチェックの仕方年末年始の予約の案内
12月年末一年のふり返りと来年の検診年末年始の診療日

この表はあくまで例です。貴院の地域の行事や、学校の歯科健診の時期、医院の休診予定に合わせて書き換えてください。月刊がきつい場合は、季刊(年4回)にして、3か月分をまとめた表にしても構いません。大切なのは、発行の間隔を決めたら守ることです。

「固定コーナー」を2〜3個つくる

毎号まったく違う記事を書くより、毎号同じ場所に同じ種類の記事が載る「固定コーナー」を決めておくと、書く側も読む側も楽になります。例としては次のようなものがあります。

固定コーナーで紙面の半分が埋まれば、特集は一本考えるだけで済みます。

ポイント

ネタは日々の診療の中にあります。受付や診療室で患者さんから同じ質問を何度か受けたら、それを付箋に書いて編集担当に渡す、という決まりを作っておきましょう。「よく聞かれる質問」はそのまま記事になり、受付で同じ説明を繰り返す手間も減らせます。

A4一枚で続く紙面の型

院内新聞は、ページを増やすほど続けにくくなります。最初はA4一枚の片面か両面から始め、紙面の配置を毎号同じにする「型」を決めてしまうのがおすすめです。型があれば、文章と写真を差し替えるだけで次の号が作れます。

片面一枚の配置の例

場所載せるもの分量の目安
いちばん上院内新聞の名前、号数、発行月、医院名1行
上の段今月の特集(見出し+本文+写真またはイラスト1点)紙面の半分ほど
中の段固定コーナー2つ(歯科衛生士のひとこと、スタッフ紹介など)左右に並べて各4〜6行
下の段お知らせ(診療日・休診日・予約方法の変更など)箇条書きで3つまで
いちばん下医院の住所・電話番号・診療時間、予約の方法2〜3行

読みやすくするための決まりごと

作成はワープロソフトや無料のデザインツールで十分です。テンプレートを保存しておけば、次の号は複製して書き換えるだけで済みます。

よくある失敗

注意

作る人と締切|3人・2週間で回す段取り

院内新聞が続くかどうかは、文章のうまさよりも「誰が・いつまでに・何をするか」が決まっているかどうかで左右されます。担当を一人に任せきりにすると、その人が休んだり辞めたりしたときに止まってしまいます。役割を分けて、少人数で回せる形をつくりましょう。

役割を3つに分ける

役割担当の例やること
編集担当受付スタッフ、事務長ネタ表の管理、原稿の依頼と回収、紙面への流し込み、印刷
書き手歯科衛生士、歯科助手、受付など持ち回り固定コーナーと特集の原稿を書く(話した内容を編集担当がまとめてもよい)
確認担当院長医療に関わる内容と表現の確認、発行の最終判断

書くのが苦手なスタッフには、話を聞いて編集担当がまとめる方法もあります。医療に関わる内容は、必ず院長が目を通してから発行します。

発行までの2週間の流れ(月刊の場合)

  1. 発行日の2週間前:編集担当がネタ表を見て、その号の特集と書き手を決め、依頼する
  2. 10日前:書き手が原稿を提出(箇条書きのメモでも可)
  3. 1週間前:編集担当が型に流し込み、院長に確認を依頼する
  4. 4日前:院長が内容と表現を確認し、修正を戻す
  5. 2日前:修正を反映して印刷する
  6. 発行日:受付・待合室に置き、スタッフ全員に配って内容を共有する

この日程を院内のカレンダーに一年分入れてしまいましょう。原稿を頼むときは「来月の歯科衛生士のひとこと、夏休みの仕上げみがきの話を3行でお願いできますか」のように、テーマと分量まで伝えると書き手が迷いません。発行したらスタッフ全員が中身を読んでおくと、患者さんに記事のことを聞かれても受付で答えられます。

スタッフの写真や名前を載せるときは、本人の了解を必ず取ってください。載せたくないスタッフには、似顔絵やイニシャル、役割だけの紹介でも十分に人柄は伝わります。

配り方と、読まれたかどうかの確かめ方

せっかく作っても、手に取られなければ読まれません。院内新聞は「置いておく」だけでなく、「渡す」「目に入る場所に置く」を組み合わせると、患者さんの手元に届きやすくなります。

配り方の比較

配り方よいところ気をつけたいこと
受付で手渡し一言添えて渡せる。持ち帰ってもらいやすい混んでいる時間帯は渡しそびれる。会計時に渡す流れを決めておく
待合室に置く・掲示する待ち時間に読んでもらえる。手間がかからないほかの掲示物に埋もれやすい。置き場所を毎号同じにする
診療室で歯科衛生士から渡すその日の話と結びつけて渡せる診療の流れを止めない範囲で行う
リコールのはがきや封書に同封来院していない方にも届く郵送の費用がかかる。家族の目に触れることを前提に内容を選ぶ
Webサイト・LINEに載せる過去の号もまとめて見てもらえる院外への発信になるため、表現の確認をより丁寧に行う

待合室に置く場合は、掲示物が多すぎると目に入りにくくなります。掲示の見直し方は待合室の掲示物を見直す手順でまとめています。

手渡しの声かけ例

今月の中身を一言添えると、持ち帰る理由が生まれます。

読まれたかどうかを確かめる

院内新聞の反応は数字ではっきり出にくいものですが、次の方法で手応えを確かめられます。

反応のよかった記事は、翌年の同じ月にも形を変えて使えます。反応が薄いときは「誰に・何のために」に立ち返って見直しましょう。

院内新聞と待合室の過ごし方を組み合わせる|アートパークという選択肢

院内新聞は「読む」情報ですが、子ども連れの保護者は、待ち時間に紙を落ち着いて読む余裕がないこともあります。当社が提供している「アートパーク」は、待合室のテレビ1台で、お子さんが親御さんのスマートフォンで描いた魚などの絵が、大画面の水槽「すいぞくかん」を泳ぎだすサービスです。アプリのインストールや会員登録は不要で、お子さんの氏名・顔写真・生年月日は取得しません。共有のおもちゃやタッチパネルを置かないため、消毒や片づけの手間もかかりません。描いた作品は5分ほど(最長10分)で画面から退場し、日をまたいで残ることはありません。

お子さんが描いている間に、保護者が院内新聞に目を通せる時間が少し生まれるかもしれません。また、お絵かき画面には予約フォームや公式LINEなどへの案内を1回だけ表示できます(全員に同じ案内)。院内新聞のバックナンバーを公式LINEで案内している医院なら、その入口の一つとして使うことも考えられます。来院や読まれ方の変化を約束するものではなく、紙面づくりと組み合わせて使う工夫の一つです。

お絵かき画面に表示される、医院からの案内のポップアップ
お絵かき画面に1回だけ表示できる案内の例

医療広告ガイドラインと個人情報で気をつける表現

院内新聞は医院が発信するものなので、書き方には注意が必要です。厚生労働省の「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関するガイドライン(医療広告ガイドライン)」では、どのようなものが広告に当たるか、どんな表現が認められないかが示されています。院内だけで配るのか、Webサイトや院外にも出すのかによって扱いが変わる場合もあるため、判断に迷うときは自己判断で済ませず、ガイドラインの原文や、厚生労働省が公開している事例解説書、所管の保健所などで確認してください。詳しくは医療広告ガイドラインと歯科の発信でも整理しています。

書く前に避けたい表現の例

避けたい書き方の例理由の方向性言い換えの例
「必ず痛くない治療」「絶対に失敗しません」効果や安全性を断定・保証する表現「痛みに配慮して、声をかけながら進めています」
「地域一番の技術」「最先端の治療」比較や最上級で優良さを示す表現「○○の研修を受けた歯科医師が担当します」など事実のみ
患者さんの体験談や感想の掲載治療等の内容や効果に関する体験談は広告で認められていない体験談は載せず、医院の取り組みや一般的な情報を書く
治療前後の写真だけを並べる術前術後の写真には説明の条件がある院内新聞では使わないのが無難。必要なら原文で条件を確認
「今月だけ自費診療○割引」費用を強調した誘引は不適切とされる場合がある料金の案内は院内の料金表に任せ、紙面では扱わない

表は考え方の目安です。具体的な表現の可否は一次資料で確かめ、迷った表現は使わないと決めておきましょう。

個人情報と写真の扱い

確認したいこと
院内新聞づくりのチェックリスト

まとめ

歯科の院内新聞は、うまく作ることより、無理なく続けることが大切です。まず「誰に・何のために」出すのかを一つか二つに絞り、一年分のネタ表と固定コーナーでネタ切れを防ぎます。紙面はA4一枚の型を決め、編集担当・書き手・院長の3つの役割と、発行日から逆算した締切で回します。配るときは置くだけでなく一言添えて手渡しし、部数や患者さんの反応を記録して見直しにつなげます。そして、効果の断定や比較、体験談など医療広告ガイドラインで注意が必要な表現と、個人情報の扱いは、一次資料で確かめながら慎重に扱いましょう。院内新聞・医院だよりは、医院の考え方を患者さんに少しずつ知ってもらうための、地道で長く使える道具です。

アートパーク編集部(株式会社NEVER)
歯科・小児科の待合室向けに、子どもが描いた絵がテレビの大画面で泳ぐ「アートパーク」を開発・提供しています。愛知県豊川市。